上海、高齢者のための「身元保証センター」が独居老人の余生を支える

2023/05/12 08:45

中国では、ここ数年高齢化が加速しており、2025年までに高齢者の比率が20%を超える中程度の高齢化社会に突入するとされている。こうした状況の中、中国では近年、独居老人に対して、医療機関で治療を受ける際のサインを誰がするのか、不動産の売却や貯金の引き出しを誰がするのか、亡くなった場合、誰がお葬式を取り仕切るのかなど多くの問題が出てきている。

今年83歳になる樊(ファン)さんは、20年前から老人ホームに住んでいる。2004年に妻と離婚したことで、家を売り、終の棲家として老人ホームを選んだ。数年生活をしてみたが少し窮屈なところがあり、新たな老人ホームを探すことにした。しかし、ほとんどの老人ホームでは入居時に、入居者に代わって生活上の各種手続きや意思決定を行なう身元保証人を設定する必要があり、離婚し一人息子とも疎遠になっていたファンさんには、身元保証人を引き受けてくれる親族は誰もいなかった。

何か方法はないかと幾つもの老人ホームに掛け合ってみたが、一向に解決策が見つからず焦る日々が続いていた。そんな中、「上海閔行区尽善社会監護服務中心」(以下、「尽善サービスセンター」)という会社がファンさんの身元保証人になると名乗りを上げた。

「尽善社会監護服務中心」(以下、「尽善サービスセンター」)は、中国初の高齢者の身元保証を専門とする社会組織で、2020年に上海市閔行区で設立した。財産の管理や病院への付き添いに加え、生活上のあらゆる問題を本人に代わり解決し、高齢者の権利と安全を守ることに尽力している。その他にも、サービス向上のための研究、宣伝、講演なども行い、これまでにセンターには200件以上の問い合わせが来ている。

尽善サービスセンターのある上海市閔行区では、2020年7月末時点で3万3000人以上の独居老人がおり、行政機関では人員が足りず、こうした独居老人に関する全ての事柄を代理で行うことができないため、2020年に同区は高齢者の保証人制度の再検討を開始、同年7月に、尽善サービスセンターを設立した。今までに保証人となった高齢者は5人だが、保証人の契約をする高齢者は、これからますます増えていくだろうと見込まれている。

(中国経済新聞)