長江デルタの国際物流基地――舟山市

2022/04/27 23:23

浙江省舟山市は1000あまりの群島で構成される都市であり、上海の近海に位置するものの、行政上は上海市の管轄ではなく、浙江省の管轄区域となっている。

去年11月の上海輸入博覧会にて、習近平主席は長江デルタの一体化計画を国家戦略にまで発展させ、かつ上海市を中心として、浙江省・江蘇省および安徽省の共同発展を促していくと発表した。つまり、中国は上海とその周辺地区に「首都圏」に似た、経済・都市の一体化した連携区域を作ろうとしているということだ。

長さ50キロの舟山海上の橋

長江デルタ地区の四つの省・市において政治的地位が最も高いのは、上海市委員会書記の李強である。これは彼がこの地区で唯一の「政治局委員」であるためだけではなく、習近平国家主席が浙江省で省委員会書記を務めていた際、李強は習近平の秘書長として信頼を得ていたためもある。さらに、李強は浙江省委員会書記も務めたことがある。李強は李克強総理の後継者になれるだろうか?長江デルタ一体化の推進は、このための非常に重要な業績となる。

しかし、上海市幹部たちが憂慮しているのは、港とその後背地に欠けるという上海の発展上の欠点だ。現在の洋山港は舟山市の島を借りたものである。このボトルネックをどう解決するか。上海には新しい深海港と、臨港工業用地が必要なのだ。

世界一の港ーー洋山港

浙江自由貿易試験区の全範囲が舟山にあり、舟山は中国4つ目の新区でもある。舟山にはボーイングの引き渡しセンターのプロジェクトが生まれており、また世界最大の石油基地が操業開始となるものの、舟山は依然としてプロジェクト不足、資金不足、人材不足という困難を抱えている。これらのボトルネックを、舟山だけの努力で突破するのは難しい。舟山には100万ほどの人口しかないため、外からの力を借りる必要がある。そしてこの外からの力こそが上海なのである。舟山と上海は隣接しており、中国で最も優れた深海港を持ち、一つの島全体を開発することができ、臨港工業の発展に必要な後背地も広く、上海の産業・貿易の分流とすることができる。

舟山市の街

上海は舟山を拡大区とし、舟山と自由貿易協力区を構築すべきである。上海の産業・物流・国際貿易・国際金融を舟山まで広げ、舟山と上海を経済・産業・物流および人材面で一体化し、連動的に発展させる。舟山は大洋山島・小洋山島を浙江と上海が「自由貿易新区域」を共同で構築するためのモデル区域とし、最終的に上海自由貿易区と浙江自由貿易区の合併を実現し、「上海舟山自由貿易港区」を共同で作り上げることで、中国の改革・開放における重要なポジションを築く。これによって長江デルタの一体化は初めて強大な港湾と物流の指示を得られ、一体化を実現することができるのだ。

長江デルタは中国で最も経済が活発で、中国で最も裕福な地区である。会った以下の推進に伴い、政治的空気の強すぎる北京ではなく、上海を中心とする長江デルタ地区に中国の本当の「首都経済圏」が出現しようとしている。日本企業も今後の動向に注意すべきだろう。(中経 徐静波)