世界三大美果のひとつであるチェリモヤとバンレイシ(釈迦頭)を掛け合わせてできたアテモヤは毎年12月から4月にかけて最盛期を迎える。しかし、今年は様子が異なるようだ。
2021年9月に中国が台湾産アテモヤの輸入を停止したことで、台湾でアテモヤの価格が急落、台湾の東南部にある台東県では政府が安価でアテモヤを購入し肥料にするという話まで出ている。今でも数千トンのアテモヤが出荷先を見つからず売れ残っている状態だ。
2月9日の台湾メディアの報道によると、台東県におけるアテモヤの年間生産量は約2万トン、以前はそのうち約90%を中国本土に輸出しており市場での人気も高かった。しかし2021年9月に輸出が停止されて以降、2022年に同県のアテモヤが600グラム当たり30台湾元(約133円)だったのに対し、2023年に入ってからは600グラム当たり10〜12台湾元(約44〜53円)にまで下落している。以前、中国では600グラム当たり約80台湾元(約354円)で販売されており、価格の急落が深刻だ。
台湾経済部(経済産業省に相当)の資料によると、2022年12月の台湾の海外受注額は521億7000万ドル(約6兆9900億円)で、主に中国本土からの受注が減少したため、前年同月比23.2%減となった。海外受注額の減少は、台湾と中国本土が経済面での結び付きが深く、サプライチェーンにおいても密接な関係にあることを示している。また台湾では農水産業が産業全体の中でも脆弱とされ、中国本土の市場を失えば生存が非常に厳しくなるとされる。
台東県議会の呉秀華(Wu Xiuhua)議長は、台湾でアテモヤを消費するのは限度があり、中国本土での販売再開が最も有効な解決策だ、と述べた。民進党は、現実的かつ長期的な解決策として、中国本土への輸出再開に向け交渉を行うべきだ、と述べた。
(中国経済新聞)