中国IT大手のテンセント、アリババなどで、「非政府関係者の収賄罪」が多発している。収賄とは外部の者からの財産の受領であるが、実際には会社に大きな損失をもたらすもので、かねてから取締りの対象となっている。テンセントは、「高圧線」と称した違法取締り体制や整備されたリスク管理体系を制定することで、わいろや横領などあらゆる不正行為の防止や発見、取締りに努めている。
1月16日にテンセントが発表した不正取締りに関する通達によると、2022年の1年間、「高圧線」に触れて調査部に摘発された件数は70件以上で、100人余りが解雇され、10人余りが公安機関に拘束されたという。2022年12月に開かれた社員総会で取締役会会長兼CEOの馬化騰(ポニー・マー)氏は、社員の汚職問題について「目も当てられない」と述べた。事業が進まないのは管理者の問題でも方向性の問題でもなく、不正への抜け穴が大きすぎて仕事が消えているというのである。
中国IT業界は、かねてから社内の汚職取締りに力を入れている。ネット出前サービスの美団が2023年1月13日に公表した2022年の取締り結果によると、刑事事件が41件で107人が法廷で罪を問われ、このうち社員が47人、提携先など他の関係者が60人であり、クリーン化対策として提携を完全に外された会社が41社となっている。
また大手検索会社のバイドゥは、先ごろ創業者で会長兼CEOである李彦宏(Robin Li)氏が社内配信で「ポニー・マー氏の言う問題はバイドゥにもある」と述べたが、取締りの状況についてはこれまで未公表である。最近の動きでは、2020年4月、グループの元副総裁である韋方(Wei Fang)氏が汚職を働いたことで公安機関に拘束された、との通達が職業道徳委員会より重大な違法行為として発表されている。
さらに配車アプリのディディは、2021年2月に2020年の社内不正取締り活動について発表し、通販大手の京東グループは2018年8月に「汚職取締り公告」として16件の事例を発表した。同じく通販大手のアリババは汚職取締り部門の廉政部を発足させ、創業メンバー18人の1人である蒋芳(Jiang Fang)氏を責任者に据えた。蒋氏は最近の組織替えで、童文紅氏の後任としてグループのCPO(最高個人情報責任者)に就任している。
(中国経済新聞)