1月10日、浙江省杭州市。地元政府の公用車が次々とアリババの本社敷地内に入っていった。
警備員に付き添われて本社9号館に入ったのは、杭州市政府のリーダーであった。この日、3年間棚上げされていた戦略的パートナー関係を本格展開する契約に双方が署名した。
この20日余り前に浙江省委書記に就任していた易煉紅氏は、北京で経済関連の会議を終えてすぐ杭州に戻り、その足でアリババに向かった。易氏は会議で、「プラットフォーム経済の支援に取り組む」と述べていた。
ところが1月7日、馬雲(ジャック・マー)氏が設立したフィナンシャル会社の「アント・グループ」が、マー氏が支配権を放棄したと発表した。アント・グループは杭州市政府の配下にある投資会社の杭州金融が2番目の株主となり、政府系企業に転じたのである。
日本にいるマー氏が実質支配権を奪われてわずか3日後、就任から1年経った杭州市委書記の劉捷(Liu Jie)氏が初めてアントのショールームを訪れ、即座にアリババとパートナー提携を結ぶことで合意した。
その理由は、アントがマー氏の会社ではなくなったからだ。