中国の薬品監督管理局が今年2月11日に条件付きで輸入を緊急許可したファイザー製薬のコロナウイルス用飲み薬Paxlovidが、年末になって思わぬ「品不足状態」に陥っている。
コロナの感染者が急増したことで、世界保健機関(WHO)が推奨している、入院リスクのある軽~中程度の感染者向け経口治療薬であるPaxlovidの需要が激増している。
祖母が感染して1週間入院を続け、肺炎の症状も出ているという張静さん(Zhang Jing)(仮名)はPaxlovidの存在を知り、何とか手に入れようとした。まず2380元(約45500円)でPaxlovid的インド製模倣薬を買い、のちにある医薬品の通販サイトで2640元(約5万円)をかけて先発医薬品を手に入れた。しかし服用すべき時期を逃してしまい、張さんは今、Paxlovidを飲ませるべきか決めかねている。
しかし、誰もが張さんのようにPaxlovid先発医薬品を入手できるわけではない。調査の結果、Paxlovidはヤミ取引で値段が急上昇しており、一箱1万元(約20万円)で売りつけるケースも出ている。なかなか手に入らずやむなくインドの模倣薬を買う人もいるが、それでも一箱2500元前後(約5万円)もかかる上、欠品中につき代金振り込みの数日後に発送するという業者が後を絶たない。さらには購入時にサギ行為にあったとの声も上がっている。
(中国経済新聞)