家電大手の蘇寧易購(Suning.cn)、赤字続きで借金漬け、LAOX株も手放す

2022/10/18 10:30

免税店のLAOXを買収した経験のある中国の家電販売大手「蘇寧易購」(Suning.cn)が今、深刻な経営危機に陥っている。

この蘇寧易購に対して、ネット上で正反対の情報が流れている。

しきりに好調であると発信している一方で、中小零細を中心とした債権者が策を講じて返済を求めているというのである。つまり、本業で利益が出ずに借金漬けとなり、信用問題に追われているのである。

蘇寧易購は今年に入り、相次ぐ閉店や赤字事業の切り捨て、支出の削減により、上半期の売上高が60%も減った。収益力は幾分回復したものの、親会社帰属の収支は27.41億元(566億円)の赤字であった。

こうした急激な後退は、会社の財務状況と深いかかわりがある。

2021年6月に流動資金の問題が一気に明るみになり、中心業務である家電3C事業で商品在庫が過去最低となり、売上が急激に落ち込んだ。販売量や購買量の減少、および仕入先の支払い延滞により代金の支払い割合が一気に落ち込んで、購入費用の増大や利益の低下につながったのである。

蘇寧易購はスパイラルにはまってしまった。

2021年の決算で、銀行融資における規定を実行しなかったため、一部の融資で違約または部分違約が生じ、金融機関からの前倒し返済要求額が2021年末の時点で利息も合わせて191.05億元(約3945億円)となっていた。

また、手元資金が足りずに今年3月末の時点で未払い金額が実に322.39億元(6658億円)にも上ってしまった。

蘇寧易購は、2009年 8月に海外の100%子会社を通じて家電販売のLAOXの株式の27%を8億円で購入し、同社の筆頭株主となって国際化への道を歩み始めた。その後も増資を続け、持ち株率は一時期65%に達してLAOXを完全子会社化した。

ところが、中国国内で通販業界が急成長した上、コロナの影響も加わって、蘇寧易購は深刻な赤字を抱えた。

LAOXは2021年12月2日、シンガポールの投資ファンドが持ち株率34%となって経営権を手に入れ、蘇寧は同じく30%に落として次点株主となったと発表した。

(中国経済新聞)