最近、新エネルギー車各社が一部車種の希望小売価格の引き上げを発表しており、値上げ幅は数千元(約10万円)から1万元(約20万円)に集中している。昨年来、サプライチェーンの上流での原材料価格の高騰やチップ不足による部品供給価格の変動により、今年上半期に新エネルギー車の価格調整を行った中国企業が相次いでいる。
今年の上半期の自動車メーカーが価格上昇を「新エネルギー補助金の減少による影響」と「チップの不足による影響」に帰したのと比較すると、今回、自動車各社が値上げの理由として挙げているのは、いずれもサプライチェーンの上流での炭酸リチウムの値上がりが続いていることだ。データによると、2020年末、炭酸リチウムの価格は1トン当たり5万元(約99.8万円)前後で推移し、今年4月には1トン当たり50万元(約998万円)を超えたこともある。8月上旬現在、炭酸リチウムの価格は1トンあたり47万元(約939万円)前後で推移している。
中国乗用車市場信息聯席会(CPCA)の崔東樹秘書長は、原材料価格が予想以上に上昇し、さらに新型コロナウイルスなどの複数の要因が重なり、自動車製造のコストが上昇していると見ている。多くの自動車メーカーが値上げを行ったことは、サプライチェーンの上流での原材料価格の上昇やチップ不足が十分に緩和されていないことを意味する。崔氏は、自動車業界全体が値上げに踏み切ることはなく、従来型の自動車メーカーは新エネルギー車メーカーに比べて需要が縮小しており、値上げに意欲的ではないと述べた。
一方では新エネルギー車のコストが上昇し、他方では消費者の強い需要がある。 7月の新エネルギー車の販売台数は16万台を超え、前年同月比220%以上の伸びとなり、BYDは5カ月連続で10万台以上を販売している。また、BYDだけでなく、多くの「中国・NEV新勢力ブランド」が7月の納車データを発表し、前年同月比で大幅な販売増を記録しており、その中でも、広汽埃安新能源汽車(AION)、上海蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(Xiaopeng Motors)、理想汽車(Li Auto)、哪吒汽車(Neta)、零跑汽車(Leap Motor)が7月に1万台の販売を突破した。
中国汽車工業協会(CAAM)のデータによると、上半期の中国の自動車販売台数は前年同期比6.6%減の1205.7万台だったが、新エネルギー車は高い成長率を維持し、生産・販売台数は260万台を上回った。中国の自動車市場では、燃料車の生産・販売が減少し、新エネルギー車の生産・販売が増加する傾向にある。
(中国経済新聞)