中国の1人当たり生活用電力量、41年間で約85倍に 石炭中心から電化・クリーン化へ

2026/10/26 16:00

中国の家庭におけるエネルギー消費が大きく変化している。中国国家統計局が編さんした「中国統計年鑑2026」の長期データによると、2024年の中国の1人当たり生活用電力量は1103キロワット時(kWh)に達し、1983年の13kWhから約84.8倍に増加した。一方、かつて家庭用エネルギーの中心だった石炭の消費量は大幅に減少した。中国の暮らしは、石炭中心から電化・クリーン化へと大きく転換している。

中国メディアの第一財経がデータを分析したところ、1人当たりの生活用エネルギー消費量は1983年の標準炭換算107キログラムから、2024年には535キログラムへと約5倍に増加した。暖房や冷房、家電製品の使用、調理、移動など、生活のさまざまな場面でエネルギー需要が拡大しており、住民の生活水準の向上を反映している。

1980年代には、石炭が家庭用エネルギーの中心だった。1983年の1人当たり石炭消費量は128キログラムだったのに対し、電力消費量はわずか13kWh。天然ガスの消費量も0.1立方メートルにとどまり、石炭を使って調理や暖房を行う生活が広く見られた。

その後、エネルギー転換の進展に伴い、家庭での石炭消費量は長期的な減少傾向に入った。2024年の1人当たり石炭消費量は30キログラムとなり、1983年比で76%以上減少した。都市部だけでなく、農村部でも石炭を直接燃焼させて生活用エネルギーとして利用するケースが減少している。

これに対し、電力消費量は急速に拡大した。1990年代に増加が加速し、2000年代以降はさらに伸びが大きくなった。白黒テレビの時代から、冷蔵庫や洗濯機の普及、エアコンの一般家庭への浸透へと進み、近年では電気自動車(EV)の家庭用充電設備やスマートホーム機器も電力需要を押し上げている。

電気自動車の普及に伴う充電需要も、近年の家庭用電力消費の増加要因の一つとなっている。中国国家エネルギー局が2026年10月22日に発表したデータによると、同年9月末時点の国内の電気自動車用充電設備は2477万7000基に達し、前年同期比37.2%増加した。このうち、個人所有の充電設備は1957万基で、前年同期比44.0%増。全体の約79%を占めた。

電化の進展は農村部にも広がっている。中国電力企業連合会がまとめた「中国電化発展年報2025」によると、2024年の農業・農村住民生活の電化率は43.6%となり、前年から1.9ポイント上昇した。農村部では分散型太陽光発電の導入が急速に進み、太陽光発電と農業を組み合わせた取り組みや、電源・送配電網・電力需要・蓄電設備を一体的に管理する仕組み、太陽光発電を活用したクリーン暖房など、多様な活用モデルが広がっている。

電力に加え、天然ガスの普及も生活用エネルギーの構造を変えた。1人当たり天然ガス消費量は1983年の0.1立方メートルから、2024年には43.4立方メートルへと434倍に増加した。ガス導管網の整備や、石炭から天然ガスへの燃料転換政策などを背景に、都市部では天然ガスが調理や暖房に使われる主要なエネルギー源の一つとなった。

一方、かつて広く利用されていた人工ガスは、天然ガスへの置き換えが進んだことで縮小している。1人当たり消費量は1983年の1.5立方メートルから増加し、一時は14立方メートルを超えたものの、2024年には2立方メートルまで減少した。

液化石油ガス(LPG)は、都市化が急速に進んだ時期に普及した。持ち運びや設置の面で柔軟性があり、調理用のクリーンエネルギーとして利用が広がった。1人当たり消費量は2017年に23.1キログラムでピークを迎えた後、近年は緩やかに減少し、2024年には16.9キログラムとなった。

41年間にわたるデータは、中国の住民生活における二つの大きな変化を示している。一つは、所得や生活水準の向上に伴い、エネルギー需要全体が拡大したこと。もう一つは、石炭の利用が減少する一方、電力や天然ガスへの転換が進み、エネルギー消費の電化・クリーン化が長期的な潮流となっていることだ。

こうした変化は生活環境の改善につながる一方、電力の安定供給や需給調整、配電網の増強といった課題も生み出している。電気自動車やスマートホーム機器の普及、農村部での分散型電源の拡大が続くなか、中国では今後、増大する電力需要に対応しながら、電力供給システム全体の柔軟性と安定性を高める取り組みが一層重要になりそうだ。

(中国経済新聞)