ガラス繊維メーカー中国巨石、純利益108%増の約1,123億円! 約577億円の大型投資で次の成長へ

2026/10/23 10:34

中国の大手ガラス繊維メーカー、中国巨石股份有限公司(中国巨石、上海証券取引所:600176)は、2026年1~9月期の売上高が前年同期比30.02%増の180億7,800万元(約3,797億円)、親会社株主に帰属する純利益が108.15%増の53億4,600万元(約1,123億円)となった。ガラス繊維の主要な用途分野で需要が拡大し、販売数量と製品価格がともに上昇したことが大幅な増益につながった。

第3四半期(7~9月)の売上高は前年同期比44.30%増の69億1,900万元(約1,453億円)、純利益は173.80%増の24億1,200万元(約507億円)だった。売上高、純利益ともに前年同期から大きく伸び、増益の勢いは第3四半期に一段と強まった。

中国巨石は世界最大のガラス繊維メーカー。中国建材股份有限公司が29.37%を出資する筆頭株主で、1999年に上海証券取引所に上場した。ガラス繊維および関連製品の研究開発、生産、販売を主力事業とし、ガラス繊維の粗糸や加工製品、電子機器向けガラス繊維糸、電子回路基板などに使われるガラス繊維織物を手掛けるほか、再生可能エネルギーによる発電事業も展開している。

同社によると、ガラス繊維の主要な用途分野で需要が増加し、販売数量と製品価格の上昇が売上高を押し上げた。風力発電、新エネルギー、電子・電気機器、自動車の軽量化といった成長分野の需要を取り込み、高付加価値製品の構成比を引き上げたことも収益拡大に寄与した。

生産面では、製品構成の見直しや二酸化炭素排出量を抑えた製造方式の導入に加え、原材料の調達から製造、物流までの費用管理を強化した。設備改良や製造工程の改善を進め、事業全体でのコスト削減と生産効率の向上に取り組んだ。売掛金の管理や在庫の適正化を通じて、資産の回転効率と収益の質の改善も図っている。

経営の健全性を示す指標も改善した。1~9月期の営業活動によるキャッシュフロー(営業活動による現金収支)は39億5,700万元(約831億円)と、前年同期比85.36%増加した。

基本1株当たり利益は1.34元(約28.1円)で、前年同期比109.23%増。第3四半期単独では0.60元(約12.6円)となり、前年同期比174.01%増だった。

自己資本利益率は1~9月期が16.11%で、前年同期から7.79ポイント上昇した。第3四半期単独でも7.05%となり、4.22ポイント上昇した。自己資本利益率は、株主から預かった資金などを使ってどれだけ利益を生み出したかを示す指標だ。

9月末時点の総資産は6,098億4,000万元(約1兆2,807億円)で、前年末比11.64%増。親会社株主に帰属する純資産は3,429億3,000万元(約7,202億円)ではなく、342億9,300万元(約7,202億円)で、同10.29%増加した。負債比率は41.28%だった。同社は今後、低コストの資金調達手段を拡充し、借入金などの構成を見直すとともに、資金管理を強化する方針だ。

研究開発費は1~9月期に5億4,200万元(約114億円)となり、前年同期の3億9,900万元(約84億円)から増加した。売上高に占める研究開発費の割合は3.00%。同社は2027年も3%以上の水準を目指し、ガラス繊維の新素材、二酸化炭素排出量を抑えた製造、デジタル技術を活用した生産・管理体制の高度化などへの投資を継続する。また、2026~2030年を対象とする「第15次五カ年計画」に沿った技術革新計画を具体化する。

株主還元では、2026年も中間配当を実施し、配当総額は13億元(約273億円)を超えた。2027年についても、会社の実際の経営状況、成長段階、現金収支、将来の設備投資需要などを考慮し、現金配当の実施条件を満たす場合には利益配分策を継続的に見直し、株主への還元を進めるとしている。

中国巨石は10月19日、四川省成都市で進める高性能ガラス繊維生産ラインの建設計画について、総投資額を従来の23億4,800万元(約493億円)から27億4,800万元(約577億円)に引き上げると発表した。増額分は4億元(約84億円)。貴金属価格の大幅な上昇と、工場の自動化・情報化を進める必要性が主な理由としている。

一方、建設期間は従来の3年から2年へ短縮する。プロジェクトは2025年6月に初めて公表されたもので、成都巨石の既存工場の西側に、年間20万トンの高性能ガラス繊維を生産する設備を新設する計画だ。原材料を高温で溶かして繊維状に引き出す製造方式を採用する。資金は自己資金と外部調達で賄う。

会社側の試算では、プロジェクト完成後の税引き前の総投資収益率は7.06%となる。初回発表時に示した平均投資収益率11.62%を下回っており、投資額の増加に加え、収益性の見通しにも変化が生じている。

事業主体の成都巨石は、中国巨石の全額出資子会社である巨石集団有限公司の完全子会社。登録資本金は15億元(約315億円)だ。2025年末時点の総資産は54億5,400万元(約1,145億円)、負債総額は9億5,100万元(約200億円)、純資産は45億300万元(約946億円)だった。2025年の売上高は17億5,700万元(約369億円)、総資産に占める負債の割合は17.43%となっている。

中国巨石は、今回の投資について、国内市場の成長機会を開拓し、既存の市場占有率を維持しながら競争力をさらに高める狙いがあると説明する。生産能力の増強は、風力発電や新エネルギー、自動車の軽量化などの分野に向けた中長期的な供給体制の強化につながるとみられる。

ただし、同社は政策変更や市場変動などによって計画の実施に影響が及ぶ可能性も指摘している。需要が持続するかどうかに加え、投資額の増加と投資収益率の低下を踏まえ、今後の建設の進捗や稼働後の収益性を見極める必要がある。

中国巨石は、ガラス繊維の需要拡大、高付加価値製品への移行、コスト削減を背景に、2026年1~9月期に大幅な増収増益を達成した。営業活動による現金収支も伸びており、収益改善が資金を生み出す力の強化にもつながっている。

一方、成都の新工場では投資額が増加し、会社側が試算する税引き前の総投資収益率は当初計画を下回った。今後は、成長分野の需要を取り込みながら、増産による収益拡大と設備投資の採算性を両立できるかが、中長期的な成長を左右する重要なポイントとなりそうだ。

(中国経済新聞)