中国映画界を代表する映画賞の一つ、「第38回大衆電影百花賞」の授賞式が8月10日、北京で開催された。最優秀作品賞、最優秀脚本賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優・女優賞、最優秀助演男優・女優賞、最優秀新人賞など8部門の受賞者が発表され、注目を集めた。

最優秀主演男優賞には、映画『小小的我(Big World)』の易烊千璽(イー・ヤンチェンシー)、最優秀主演女優賞には『破・地獄(The Last Dance)』の衛詩雅(ミシェル・ワイ)が選ばれた。
最優秀監督賞は『長安的荔枝(Lychee Road)』の大鵬、最優秀新人賞は『鏢人:風起大漠(The Bladesman)』の陳麗君が受賞。最優秀助演男優賞には王驍、最優秀助演女優賞には薩日娜が選ばれた。また、『驚蟄無声(Silent Whispers)』が優秀作品賞、『哪吒之魔童鬧海(Ne Zha 2)』が最優秀作品賞を受賞した。
易烊千璽、「新人」から主演俳優へ
『小小的我(Big World)』で最優秀主演男優賞を受賞した易烊千璽は、6年前に『少年的你(Better Days)』で百花賞の最優秀新人賞を受賞したことを振り返った。

当時は映画初出演だったが、その後、2018年から現在までに12本の映画で主演を務めるまでに成長した。「観客の皆さんと映画業界の方々から信頼していただいたことに感謝したい」と喜びを語った。
今後については、少しずつ生活に時間を戻しながらも、自分が敬意を抱いている俳優という仕事をできるだけ長く続けていきたいとし、「この仕事が大好きです」と語った。
最優秀主演女優賞を受賞した衛詩雅は、『破・地獄(The Last Dance)』での演技が評価された。衛詩雅は先日、映画撮影中に負傷し、顔を50針以上縫うけがを負った。それでも授賞式には出席し、顔には傷を覆うテープが残っていた。

トロフィーを手にした衛詩雅は、百花賞からの評価と作品のスタッフ、そして何より観客への感謝を述べ、「良い映画は人生を変え、より良く生きる力を与えてくれる」と語った。今後も観客の心を動かす役柄や作品に挑戦していきたいと意欲を示した。
『長安的荔枝(Lychee Road)』で最優秀監督賞を受賞した大鵬は、受賞の喜びから映画の主題歌を歌い出す場面も見られた。大鵬は、もともとインターネット上で短編動画を制作して注目を集めたクリエーターで、映画監督として専門的な教育を受けたわけではないという。
「今この舞台で最優秀監督賞を受賞できたことは、多くの努力している人たちを励ますことになると思う。続けて努力すれば、必ず応えてもらえる」と語った。また、俳優として共演してきた多くの監督から現場で学んだ経験が、自身が監督として作品を作るうえで大きな支えになったと感謝した。
『哪吒2』、アニメ映画として初の最優秀作品賞
最優秀作品賞には、中国で大ヒットしたアニメーション映画『哪吒之魔童鬧海(Ne Zha 2)』が選ばれた。

百花賞でアニメ映画が最優秀作品賞を受賞するのは今回が初めて。作品を手掛けた光線伝媒の王長田董事長は、「中国アニメーション界全体にとって栄誉ある瞬間だ」と語った。
同作は興行収入だけでなく、アニメーションを重要な芸術表現の一つとして評価するきっかけにもなったと指摘。「『哪吒』だけが突出するのではなく、中国のアニメ映画が百花繚乱のように発展し、夢が届くあらゆる場所で花開いてほしい」と期待を示した。
監督の餃子氏は現在も次回作の創作に集中しているという。
張芸謀、「中国映画の未来は若者にある」
『驚蟄無声(Silent Whispers)』で優秀作品賞を受賞した張芸謀監督は、謙虚な姿勢を示した。張監督は、自身が高く評価している作品として申奥監督の『南京照相館(Nanjing Photo Studio)』を挙げ、「私も彼から学びたい」と語った。
そのうえで、「中国映画の未来は若者にある。初心を忘れず、努力を続け、観客に応える良い映画を作ってほしい」と若い映画人にエールを送った。
「中国映画新評価体系」を発表
授賞式に先立ち、8月9日には北京798芸術区で、第38回百花賞の関連イベントとして「中国映画新評価体系」の発表と映画評論家フォーラムが開催された。
今回のフォーラムは「良い映画を発見し、新しい観客を見つける」をテーマに、中国映画の評価制度や作品の伝え方について映画人、評論家、研究者、メディア関係者らが議論した。
フォーラムでは、中国映画の新たな評価体系も発表された。この体系は「人民を中心に据える」ことを基本理念とし、思想性、芸術性、大衆性の3つの観点から映画を評価する専門的な基準を構築する。
優れた作品と観客との間に存在する情報格差を縮め、質の高い作品がより多くの観客に届くことを目指すものだ。
中国映画界では近年、興行収入だけでなく、作品の芸術性や観客からの評価、若手クリエーターの活躍など、多様な価値を重視する動きが広がっている。
今回の百花賞では、人気俳優の成長、俳優から監督へ転身した映画人、そしてアニメーション映画の躍進など、中国映画界の新たな潮流が鮮明に示された。
(中国経済新聞)
