中国妊婦タイ崖下事件:6年ぶりの離婚裁判開廷へ

2025/09/11 12:30

2019年6月9日、中国の妊婦王暖暖(ワン・ヌアンヌアン)と夫の愈某がタイのパドゥン国立公園を訪れた際、夫に34メートルの崖から突き落とされた。奇跡的に生還した彼女は全身17か所の骨折を負い、200針以上の縫合手術を受けた。この事件は中国とタイで大きな注目を集め、王暖暖は本名を伏せて「王暖暖」と名乗り、その物語は映画『消失的彼女(失踪した彼女)』としてスクリーンに描かれた。

3回の審理を経て、2023年6月にタイ王立裁判所は最終判決を下した。愈某の殺人未遂罪が成立し、懲役33年4か月の判決が確定した。しかし、刑事事件が一段落した後も、王暖暖は俞某との婚姻関係を解消できなかった。既婚状態のため新たな恋愛や再婚ができない中、子供を望む彼女は補助生殖技術を選択し、37歳で子供を授かり、シングルマザーとなった。

2023年9月、王暖暖は南京市秦淮区人民法院に離婚を提訴し、同日受理されたが、開廷には至らなかった。代理人弁護士の柳錦目(リュウ・ジンムー)は、俞某がタイで服役中であることが原因で手続きが遅れていると説明する。通常、離婚裁判の被告が国外にいる場合、司法文書を送達して出廷を通知する。被告が国内で服役中の場合は、裁判官が刑務所で審理を行う。しかし、愈某のような国外服役のケースは中国で初の事例であり、タイの刑務所が俞某を中国に送還することは不可能で、中国の裁判官がタイに出向くこともできない。

柳錦目は、「外交当局と司法当局の調整により、ようやく問題が解決した」と語る。9月26日に開廷が予定され、裁判所は非公開審理を採用し、俞某はビデオ通話で出廷する。このような中泰間のクロスボーダー・ビデオ審理は国内初の試みだ。

婚姻関係の継続により、王暖暖は子供の戸籍登録で問題に直面した。生父欄に愈某の名前を記入せざるを得ないとされたが、柳錦目によると、地元戸籍部門が非嫡出子として処理し、戸籍を取得できた。

王暖暖の離婚裁判開廷は、6年間の苦難の末に訪れた転機だ。刑事事件の判決確定後も婚姻の枷が続き、新たな人生を歩む障害となっていた。9月26日の審理結果が彼女の未来をどう変えるか、注目が集まる。

(中国経済新聞)