中国国家インターネット情報弁公室、NVIDIAを呼び出しH20チップの安全性証明を要求

2025/07/31 17:23

中国国家インターネット情報弁公室(以下、国家網信弁)は7月31日正午、米国のAIチップ企業NVIDIAに対し、中国向けに販売されているH20算力チップのセキュリティ上の脆弱性やバックドアのリスクに関する説明と関連証明資料の提出を求める約談を行ったと発表した。NVIDIAは最近、H20チップの中国への輸出許可を取得したばかりである。

国家網信弁によると、最近、NVIDIAの算力チップに重大なセキュリティ問題が存在するとの情報が明らかになった。また、米国議員が米国から輸出される先進的なチップに「追跡定位」機能の搭載を義務付けるよう求めていたことが背景にある。さらに、米国の人工知能分野の専門家は、NVIDIAの算力チップに搭載された「追跡定位」や「遠隔シャットダウン」技術がすでに成熟していると明らかにした。中国のユーザーのネットワークセキュリティおよびデータセキュリティを保護するため、国家網信弁は《ネットワーク安全法》《データ安全法》《個人情報保護法》の関連規定に基づき、NVIDIAに対し約談を実施した。

NVIDIAのH20チップは、同社が中国市場向けに特別に設計したAIチップであり、米国の輸出規制に適合するよう性能が調整されている。H20は、NVIDIAの主力AIチップH100やH800と比較して計算能力や帯域幅が抑えられているものの、推論計算の分野で依然として高い競争力を持つとされている。しかし、今回のセキュリティ問題の暴露により、中国当局はチップの潜在的リスクに対する懸念を強めており、NVIDIAに対し迅速な対応と詳細な説明を求めている。

国家網信弁の発表は、中国がネットワークおよびデータセキュリティの確保に強い姿勢を示していることを反映している。特に、個人情報保護や重要データの安全な管理を規定する《ネットワーク安全法》《データ安全法》《個人情報保護法》は、国内外の企業に対し厳格なコンプライアンスを要求しており、今回の約談もその一環とみられる。

NVIDIAは、今回の約談に対し、どのような証明資料を提出し、どのように対応するのかが注目される。また、この問題が同社の中国市場での事業展開や、今後の米中技術貿易にどのような影響を及ぼすのか、国内外の関係者の関心が集まっている。

(中国経済新聞)