鄒加怡氏、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の新総裁に選出

2025/06/26 07:30

アジアインフラ投資銀行(AIIB)は第10回理事会年次総会の特別会合において、鄒加怡(すう・かい)氏を次期総裁に選出したと発表した。鄒氏は2026年1月16日付で、初代総裁を務めた金立群氏の後任として就任し、任期は5年間となる。

鄒氏は就任決定を受け、「AIIB加盟国からの信任に対し、謙虚な気持ちとともに大きな名誉を感じております」と述べた上で、「金総裁の卓越したリーダーシップのもと、AIIBは過去10年間で38カ国における322件のプロジェクトを支援してきました。今後はグローバルなマネジメントチームと協力し、さらなる発展を目指します」と意欲を語った。

現総裁の金氏は、「来年1月に鄒加怡氏がAIIB総裁職を引き継ぐことを非常に喜ばしく思います。彼女とは長年の知己であり、国際開発金融分野で最も尊敬される人物の一人です。AIIBは彼女のリーダーシップのもと、引き続き正しい道を進んでいくことでしょう」とコメントした。

AIIBの首席エコノミストであるエリック・バーグロフ氏も、「鄒氏こそが最もふさわしい総裁であり、彼女の就任を心から歓迎する」と述べ、国際金融・財政分野の関係者の間でも広く支持されていることを示した。

なお、6月26日には中国の李強国務院総理が第10回AIIB理事会年次総会の開幕式に出席し、基調演説を行う予定である。

AIIBは2013年10月に習近平国家主席が東南アジア歴訪中に創設を提案し、2016年1月に正式に発足。初代総裁には中国の金立群氏が就任し、設立からの10年間で同銀行の基盤整備と成長を主導してきた。

鄒加怡氏は1963年6月生まれ、江蘇省無錫市出身。中国社会科学院大学院にて国際経済関係を専攻し修了。中国財政部にて国際業務担当の副部長を務め、世界銀行、アジア開発銀行、新開発銀行、国際農業開発基金(IFAD)などにおいて中国代表を歴任。世界銀行では13年間にわたり勤務し、2007年から2009年には理事会共同議長も務めた。現在は中国人民政治協商会議の副秘書長(正部長級)であり、中国共産党中央委員でもある。

鄒氏はAIIB設立時にも中心的な役割を果たし、財政部在任中は複数の年次総会に中国代表として参加。AIIBの運営改善に向けた多くの建設的な提案を行ってきた。

(中国経済新聞)