2024年の中国のゲーム市場で、売上高上位10社の合計はおよそ3500億元であった。ゲーム産業報告を元にした推計では、この1年間の国内の売上高合計額(海外販売分も含む)はおよそ4500億元であることから、上位10社が業界全体の80%近くを占めたことになる。
これら10社のランキングは以下の通りであり、テンセントと網易(ネットイース)の上位2社の売上合計は2800億元以上で、上位10社の中で80%以上となった。

ただし、両者の実績は対照的であり、テンセントは低迷から上昇期へ、ネットイースは商品発売期から蓄えの時期へと入っている。

テンセントは2024年の決算を見ると、ゲーム市場についてここ1、2年の低迷期を脱した模様であり、売上高は前年比9.9%増の1977億元であった。長期人気型のゲームやヒット商品で首位をがっちりとキープし、「無畏契約」(VALORANT)、「金鏟鏟之戦」など既存品の売上も増え、「地下城与勇士:起源」(アラド戦記モバイル)や「三角州行動」などの新種も好調で業績を支えた。


ゲーム:三角州行動
テンセントは2025年第1四半期も一段と好調になり、売上高は四半期としては過去最高の595億元で、国内・海外ともに20%以上の伸びを示した。
好調を支えた原動力は、長期人気型のゲームである。Sensor Towerによると、テンセントの今年1月ゲーム販売量は前年比62%増であり、既存品の世界の売上高を見ると、「王者栄耀」(Honor of Kings)は前年比94%増、「和平精英」(Game for Peace)は同じく267%増、「穿越火線:銃戦王者」は421%増という結果になっている。

一方ネットイースは、年間売上高は836億元で前年比2.5%の増加にとどまった。ゲーム産業に詳しい張書楽氏によると、ツートップモデルを実行する中で単品に頼る傾向があるという。「夢幻西遊」(Fantasy Westward Journey)は人気急上昇となったが新規更新が滞ってすぐに売上が落ち込んだ。「蛋仔派対」(EGGY Party)の人気が下火になり、こうしたモデルが続かなくなっている。

ゲーム:「夢幻西遊」(Fantasy Westward Journey)
ネットイースは、コンソールゲームはまずまずだが市場が小さく、モバゲーの落ち込み分をカバーしきれない。
また、さらなる業績アップに向けて海外へ進出する事業者が増える中、ネットイースはやや出遅れている。テンセントは現在、海外市場の割合が30%前後である。ネットイースのCEOである丁磊氏は2022年に、海外の売上割合は10%前後と述べた上で、「40%-50%を目指したい」との目標を打ち出していた。
ネットイースの第1四半期を見ると、長期人気型のモバゲー「第五人格」(Identity Ⅴ)や「率土之浜」の人気再燃、新種の「燕雲十六声」(Where Winds Meet)などの踏ん張りで回復軌道に入り、ゲームおよび関連サービスの売上高は前年同期より12.1%増えて240億元であった。

2024年もTOP10入りのハードルは高まり、10位の売上高は2022年より17.5%増えて47億元となっている。
この中で、点点互動(Century Games)の「無尽冬日」(Whiteout Survival)が好調だった世紀華通が、長らく3位に座っていた三七互娯を逆転した。またこれまで圏外だったbilibiliと金山軟件西山居(キングソフトSeasun Games)が、それぞれ「三国:謀定天下」および二次元の人気ゲーム「塵白禁区」(スノウブレイク:禁域降臨)をバックに、5位および7位にランクインした。

売上高上位10社のうち、利益増加率が高かったのが世紀華通とキングソフトである。
Century Gamesや盛趣遊戯など複数のゲーム子会社を抱える世紀華通はこの1年、Whiteout Survivalが好調を維持しており、中国のモバゲーでは10か月連続で海外売上ランキングがトップである。

またキングソフトは、オフィスソフトを手掛ける金山弁公とゲームを手掛けるSeasun Gamesの主力子会社2社が売上シェアをほぼ二分した。2024年のゲームの売上高は、「剣網三」(JX Online 3)や「スノウブレイク:禁域降臨」の好調を受け、前年より30%以上も増えて52億元となった。

「スノウブレイク:禁域降臨」について、Seasun GamesのCEOである郭煒煒氏は以前に年次総会で、「2作目の年間売上高10億元突破ゲームとなった」と語っていた。

赤字が続いていたbilibiliは、2024年第4四半期に初の黒字計上を果たした。「三謀」の好調を受けて年間売上高が前年比40%増の56.1億元となったゲーム事業の貢献が大きかった。
(中国経済新聞)