5月8日、中国EU商会は、米中貿易戦争が会員企業に与える影響に関する調査報告書を発表した。報告書によると、回答企業の約半数が、中国が米国製品に課す追加関税の影響を受けていると回答した。
具体的には、23%の企業が米国からの輸入品の価格上昇を報告し、17%が今後のコスト上昇を予想している。中国の対米追加関税に対応するため、過半数の企業がサプライヤーの変更を選択し、32%の企業が関連製品の価格引き上げを行った。
一方、米国が中国に課す追加関税の影響は、在中欧州企業にとって比較的軽微である。報告書によると、約70%の企業が米国関税による事業への影響はないと回答。20%の企業は事業の1~10%が影響を受けたとし、7%は11~25%、25%以上影響を受けた企業はわずか3%だった。中国EU商会は、この結果は多くの会員企業が「中国で中国向け」の戦略を採用しているためだと分析している。
しかし、貿易戦争は企業心理に明確な打撃を与えている。中国EU商会のヨルグ・ヴットケ会長は、「貿易戦争は元々存在していた悲観的なムードを悪化させ、その影響は非常に迅速に現れている」と述べた。59%の企業が2025年初以降、ビジネス環境が厳しくなったと感じ、64%が競争の激化を予想、58%が今後の利益に懸念を示した。さらに、約80%の企業が米国政府からの圧力が増加したと報告している。
それでも、ヴットケ会長は、中国のサプライチェーンは強力な競争力を持ち、コスト効率の高い高品質な商品を求める企業にとって中国は依然として最適な場所だと強調した。
不確実な外部環境に対応し、57%の企業は現時点で事業戦略を変更していないが、状況を注視すると回答した。既に措置を講じた企業では、17%が調達方法の調整、14%が中国での投資や事業拡大の延期、14%が中国への投資拡大を検討していると回答した。
最近、米中貿易戦争に緩和の兆しが見られる。5月7日、中国外交部は、何立峰副首相が5月9日から12日にスイスを訪問し、米国側と会談を行うと発表した。中国商務省によると、米国高官は関税措置の調整について繰り返し言及し、複数のルートを通じて中国側に関税問題での対話を望む意向を伝えている。中国は、グローバルな期待、自国の利益、米国産業界や消費者の声などを総合的に考慮し、米国との対話に応じることを決定した。
米中貿易戦争の影響は、在中欧州企業にとって依然として大きな課題だが、戦略的な対応と中国市場の競争力を背景に、多くの企業が適応を進めている。今後の米中対話の進展が、ビジネス環境の改善につながるか注目される。
(中国経済新聞)