瓊瑶さんが86歳で死去 複数の同族会社で「経済効果」もたらす

2024/12/10 11:35

12月4日、のちに映画やドラマ化された「窓外」「還珠格格」「烟雨濛濛」などを書き上げ、若者たちに彩を与えた台湾の小説家・瓊瑶(けい‐よう)さんが、自宅で亡くなった。86歳だった。

瓊瑶さんは本名を陳喆と言い、四川省成都生まれで本籍は湖南省衡陽である。1949年に両親とともに台湾に移り住み、中学時代に文筆活動を始めた。1955年にペンネーム「心如」で小説「雲影」を発表し、1963年に初の長編小説「窓外」でブレイクし、1964年に同じく長編小説の「煙雨濛濛」やシリーズ作品「六個夢」などを発表した。一連の恋愛小説は40年にわたり中華圏で好評を博している。また瓊瑶さんは、夫の平鑫涛さんとともに1億ドル(約100億円)以上の収益をあげ、100人近いタレントを発掘するなどの「経済効果」をもたらしたとも伝えられている。

左:瓊瑶;右:映画「窓外」でのデビューによって有名になった台湾女優林青霞

この「経済効果」を支えたのは、夫がマネージャーおよび発行者となり、瓊瑶さんの全作品を出版した同族会社の皇冠出版集団(皇冠文化集団の前身)である。皇冠文化集団の子会社であった皇冠文化は文学作品を主に扱い、台湾でも特に重要で規模のある文学書出版社であり、張愛玲、三毛、張小嫺などの有名作家の作品を出している。

瓊瑶さんは60作以上の恋愛小説を書き上げ、「庭院深深」、「六個夢」シリーズ、「梅花三弄」シリーズ、「還珠格格」シリーズなど、TVドラマ化されたものも相当数にのぼる。このうち「還珠格格」のパート1、パート2は中国でヒットした上に日本や韓国でもかなりの視聴率を出した。2011年には湖南省衛星テレビで、改めて瓊瑶さんの協力を得た形で「新還珠格格」が放映された。

瓊瑶さんはこのほか映像関係で、本人が所有する「可人」と、義理の娘の何秀瓊さんが総経理で息子の陳中維さんが発行人である「怡人」、「仲傑」の計3社を抱えていた。

こうした「経済効果」で、親族が潤っただけでなく、多くのタレントが発掘された。台湾で有名な女優のグイ・ヤーレイは21歳の時、映画「烟雨濛濛」でメインキャストの依萍を演じたことで賞を獲得し、芸能界に定着するようになった。また同じく女優のブリジット・リンも、駆け出しのころに同じく瓊瑶さんの作品である「窓外」や「在水一方」などに出演しており、「窓外」ではヒロインの江雁容がはまり役となった。また、TVドラマ化された「還珠格格」で紫薇を演じた女優のルビー・リンも人気が全国区に広がっていった。

(中国経済新聞)