通販で安値のダウンジャケットが糸くず充填品 羽毛価格の1年近い高止まりも起因か

2024/12/1 14:30

先ごろ江蘇省南通市の市場監督管理局が、羽毛ではなく糸くずを充填するなどダウンジャケットの偽造品を発見したと発表し、話題となっている。業界関係者によると、悪徳業者による信用失墜行為であるこうした現象は羽毛の値上がりが深く起因していると指摘している。

中国では寒波の訪れとともに冬物商品の売れ行きが伸びているが、南通では一部の通販会社が安売り合戦への参入や売上増を目指して、「糸くず」を「羽毛」の代わりにダウンジャケットに詰めた上、品質検査報告や羽毛の充填記録などを偽造していたという。

このほか、11月初めには浙江省湖州でも「羽毛」の代わりに「粉砕した毛」を使って安値のダウンジャケットを作っていた拠点が警察に摘発された。アヒルやガチョウの毛の余り物を使ったもので、保温効果も薄く人体に悪影響となる恐れもあるという。通販サイトでは99元(約2101円)あるいはそれ以下という安値のダウンジャケットがかなり出回っており、品質はまちまちで詰められた中味まではわかりづらい。

中国では最近、羽毛の価格が上がる一方である。データによると2023年から各種類とも値上がり始め、2024年前半にはさらに高騰して、90%グースダウンは1月には500gあたり905元(約19202円/500g)だったが7月には1220元(約25885円)と、率にして約35%も値上がりし、11月20日の時点でも1099.7元(約23333円)と高止まり傾向にある。白やグレーのダックダウンも同じような状態である。

この主な理由について、先ごろ豚肉が値下がりして消費量が増えたことで、食肉用アヒルやガチョウの消費分に回らなくなり、これらの飼育数が減ってしまったためという。中国畜牧業協会のまとめによると、アヒルの出荷量は2019年の48.8億匹から2023年には42.2億匹に減り、ガチョウも同じく6.3億匹から5.2億匹に減っている。

ただし、羽毛価格の値下がりは製造業者にとってはコスト減につながるものである。また家禽類の出荷数は最近持ち直しており、データによると2024 年上半期は中国全体で76億匹で、前年同期より4.1億匹、率にして5.7%増えている。

また一方、ダウンジャケットの需要量の変化とも関わりがある。ヨーロッパで鳥インフルエンザが流行するなどの外的影響もある中、今年は冬の訪れが遅く、通販サイトのセールも不調でダウン商品の輸出も伸びず、相場はいずれ落ち着いていくものと思われる。

(中国経済新聞)