10月22日、香港系の宝飾品製販大手「周大福(しゅうたいふく)」は香港証券取引所で、2025年度第2四半期(2024年7月1日~9月30日)の小売り総額が前年同期比21%減と発表した。この期中に中国本土で販売店145か所を閉店したという。
具体的には、販売額の大幅減や閉店ラッシュで業績が悪化し、2025年度上期(2024年4月1日~9月30日)の売上高は去年同期より約18%~22%減、最終利益も約42%~46%減となる見込みである。
2024年第3四半期の小売り額は前年同期比21%のマイナスで、うち中国本土の直営店の分は同じく24.3%減、加盟店は20.3%減であり、加盟店のうち香港の店舗では27.8%減、マカオでは40.2%減となっている。
周大福は上期の最終利益が落ち込んだ主な理由として、ここ数か月の金の相場の世界的な乱高下を挙げている。2024年9月30日に時価ベースで未返済の金の融資額を見積もったが、黒字計上だった去年同期と反して今回は現物未返済分の赤字が発生したという。
同じく香港系の宝飾品製販大手「六福集団」も、先ごろ発表した2025年度の第2四半期(7月1日~9月30日)決算では小売り収入が前年比25%減となり、うち香港とマカオでは31%減、中国本土では9%減であった。
六福集団はこれについて、この間の金の国際平均価格(米ドル/1トロイオンス)が前年同期より29%上昇し、購入意欲が薄れたことで関連商品の販売量が38%減り、指定価格の装飾品販売額が24%減ったと表明している。
金は現物価格が過去最高値を更新し続け、1トロイオンス2700ドル(約41.2万円)に達しており、小売り価格も800元/カラット(約17106円)を超えている。10月22日の各販売事業者の売値を見ると、老廟が808元/カラット(約17277円)、周大福が806元/カラット(約17234円)、老鳳祥が807元/カラット(約17256円)となっている。またこの日、上海の金取引所でAU9999の現物価格が623.88元/カラット(約13340円)であった。
これを受け、装飾品関連の需要も「買い控え」ムードが出ている。世界黄金協会によると、中国は2024年第2四半期、金ジュエリーの需要が86トンで、2009年以来の不況であり、上半期全体では前年比18%減の270トンであった。今年後半も季節要因や金価格の高止まりで思うように伸びない模様である。
業界関係者によると、金の急速な値上がりや装飾の加工賃の上昇、各社の値上げなどを受け、消費者の節約志向が広まり、ジュエリー品の消費がかなり落ち込んで小売り店が不振に陥っている。金の値段の急上昇や乱高下で加工業者や販売業が経営困難に陥っているほか、卸売り業者が仕入れを控え始め、加工側でも原料価格の上昇や出荷量の減少に見舞われて中小事業者の一部は従業員をレイオフしている。
(中国経済新聞)