中国検索大手のバイドゥ(百度)は、自動運転タクシー配車サービス「Apollo Go」(蘿蔔快跑)の海外進出を計画している。10月9日、最新の自動運転向け大規模言語モデル「ADFM」を搭載した自動運転オープンプラットフォーム10.0を打ち出す予定と伝えられた。また、外国の自動車メーカーやテクノロジー会社とともにApollo Goを海外でも実行する予定という。ただし、合弁企業設立の時期や場所などは発表していない。
Apollo Goは現在、北京、上海、武漢など11の都市で有人での運用を開始している。バイドゥの2024年第2四半期の決算報告によると、Apollo Goの注文件数は前年比26%増の89.9万件、走行回数は700万回以上となっている。またバイドゥは、コストを現行車より60%削減した6代目の自動運転車「RT6」について、無人での走行テストを始めており、実用化への準備をしている。
バイドゥは「小馬智行」(ポニー・エーアイ)や「文遠知行」(ウィーライド)などの同業他社と同じ海外進出計画を立て、アメリカ、シンガポール、UAEなどで走行テストや運用を始めている。ただし海外での実施は容易ではなく、政策や法律面、利用習慣、運営の現地化などといった課題に取り組む必要がある。
バイドゥの自動運転は、2016年のアメリカでの走行テストが始まりである。当時、カリフォルニア州で15件目となる路上テスト用のナンバープレートを取得し、2018年初めに州内で路上走行テストを始めた。シリコンバレーの一般道路や特定用地内でレベル3とレベル4の無人走行を行うなど、何度もテストを重ねて、車線変更や障害物回避、右左折などを披露している。
またバイドゥはアメリカのほか、数年前に日本でソフトバンクの子会社「SB Drive」や中国のバスメーカー「金龍客車」と提携し、小型バスの「アポロン」(阿波龍)を若干台数ながら実用走行させている。今は日本やシンガポール、フランスなど各国で、自動運転車のテストや走行を認める方向で法体系が整備されており、バイドゥほか自動運転を手掛ける会社を迎え入れる形が整いつつある。
ただしバイドゥは、海外進出にあたり様々な問題に対応しなくてはならない。まず現地での走行テストや運営の許可を取得すること、さらに現地の移動需要に見合ったサービスを施すために地元運営スタッフを用意し、マーケットニーズを把握し、提携先とともに実行する必要がある。こうしたプロセスは時間も資源も必要とする上、煩雑な法律やプライバシーポリシー、利用習慣の見直しに関わるものである。
(中国経済新聞)