美団、サウジアラビアのリヤドで事業開始 無料配達で利用者集め

2024/10/12 08:30

10月9日、中国の大手生活サービスプラットフォーム「美団(Meituan)」は、サウジアラビアの首都リヤドでデリバリーサービスを開始した。2023年5月の香港、2024年9月のサウジアラビアのアル・カルジ(Al Kharj)に次ぐ3か所目の海外事業「Keeta」の実行となる。

Appの「Keeta」には、現地で利用者を集めるために配達無料キャンペーンを行うほか、定時配達や割引サービスなどを打ち出すと書かれている。

美団はこのところ海外事業について何度か触れており、第2四半期の決算電話会議では「今はまだ初期段階であり、引き続き各地域でのマーケットチャンスを見積もっている。ただ海外事業は会社の長期計画における欠かせない部分だ」と称している。なお美団は8月23日に、国外での事業を「Keeta」と命名するとの社内メールを配信している。

網経社Eコマース研究センターでデジタル生活を分析している陳礼騰(Chen Liteng)氏は、「美団が東南アジアなどでなくサウジアラビアを選んだ理由は、中東で経済力が一番強い国であり、オンラインの食品配達市場がこのところ急成長しているからではないか」と述べている。政策面を見ても外国からの投資を広く受け入れており、進出企業に対して一連の優遇策を施している。逆に東南アジアは市場競争が激しいという。

さらにサウジアラビアは、フードデリバリー市場が十分に期待できる。広発証券によると、中東では2023年の飲食業の市場規模が1196.23 億ドル(約17.83兆円)で、うちサウジアラビアは258.72 億ドル(約3.86兆円)であった。中東はコロナ禍の後でオンライン化や外食離れが進む傾向にあり、統計データ会社「Statista」によると、湾岸6か国の2023 年のフードデリバリーのGMV は101億ドル(約1.51兆円)で、2023-2029年には年平均5.5%の割合で伸び続ける見込みという。

また広発証券のアナリストは、サウジアラビアは人口の多さや国の後押しにより経済成長が速いことで、フードデリバリーの市場規模や定着度も先を行っていると見ている。サウジアラビアのフードデリバリー系アプリの規模について、2023年は前年比14%増の43 億ドル(約6408億円)であり、その後年平均12%の割合で伸び続けて2030 年には98.7 億ドル(約1.47兆円)に拡大する見込みである。またサウジアラビアは客単価も高く、配達料の徴収にもあまり抵抗感がないので、配送費分を補って注文の都度利益が出るという健全な運営モデルができあがりそうである。人口も増えている上に女性の就業率が高く、飲食店の数が増えていることで、需給の両面でフードデリバリーの成長を刺激している。

ただし美団は現地で、激しい競争に遭っている。フードデリバリーの事業者としてTalabat、Jahez、Hunger Stationなどの国内各社のほか、海外勢のDeliveroo、Uber Eats、Delivery Heroなどが存在しており、広発証券によるとこの中で国内勢のJahezとHunger Stationのシェアが70%に達しているという。

(中国経済新聞)