ドイツのベルリンで行われている鉄道の技術展示会で、中国初の水素エネルギーによる都市間高速列車「CINOVA H2」が披露された。水素を動力源として走行の全過程で「CO2排出ゼロ」を果たした上、走行速度や乗車定員、走行距離なども海外の車両を上回り、非電化路線における新たな環境対応型車両の旅客輸送手段となる。
この列車は、中車青島四方機車車両(CRRC)が製造し、中国中車が独自に開発した水素燃料電池システムを搭載しており、完全に独立した知的財産権を有している。CRRCはパワートレインの設計、あらゆる状況での水素・電気のハイブリッドエネルギーの制御、トータルサイクルでの安全管理などといった技術を実現して、都市間鉄道における水素エネルギーの実用化を果たした。
CRRCの主任設計士である梁才国氏によると、CINOVA H2は水素と酸素の反応でモーターを駆動させる装置を搭載しており、海外の同類の車両と比べて乗車人数が多く、スピードも速く走行距離も長いという。
列車は4両編成で、最大出力960kWのハイパワー燃料電池を搭載し、時速160㎞での連続走行が可能で最高時速は200㎞である。連続走行距離も世界最長で、時速160㎞では1200㎞、時速120㎞では2000㎞、時速80㎞では3000㎞に至る。また水素のフル充填の所要時間はわずか15分間である。
環境対応型であるこの列車は「エコの達人」と呼ばれる。梁氏は、「水素燃料電池は反応プロセスの全過程で水しか生成せず、車両は『CO2排出ゼロ』で走行し、大気汚染物質を一切出さない」と述べている。年間走行距離30万㎞とした場合、CO2排出削減分は567ムーの植林分に相当する約730トンとなる。また、リサイクル技術を採用しており、水素燃料電池の反応により排出された水は浄化処理を経て回収され、車内で使う分をすべてまかなえる。燃料電池の冷却廃熱は再循環して冬場の暖房に利用される。
「都市間高速鉄道の星」であるCINOVAは、中国初の都市間高速鉄道グループによる車両製造プラットフォームで生まれた最初の車両である。国内外での非電化路線でディーゼル車両に代わるものとなり、広範囲での利用が期待される。
(中国経済新聞)