資生堂、Tmallの高級スキンケアブランド店を7月10日に閉鎖

2024/07/12 17:30

資生堂の高給スキンケアブランド「バウム」(BAUM)がこのほど、Tmallのフラグシップ店について「7月10日以降は新規注文受付を中止する」との閉店情報を発表した。資生堂の中国法人によると、「事業の見直しにより中国でのバウムの販売中止を決定した」とのことである。

資生堂は今年に入り、中国事業について見直しを加速しており、中国専門コーナーの廃止やケア用品事業の売却をする一方で、2019年にアメリカから買収し、バウムの姉妹ブランドとなる「ドランク エレファント」(Drunk Elephant)の導入をはかっている。このような動きについて、原発処理水の放出により日系化粧品ブランドの不買が広がり売上高が減っていることが背景にある。このため「主要ブランドの成長加速」という取り組みが重要になっている。

3年前に中国に導入されたバウムであるが、売れ行きもパッとしない中で撤退は賢明な策ともいえる。公開情報によると、バウムは天然や無添加を売り物に2020年に打ち出された高級スキンケアブランドである。資生堂は2021年に行われた第1回消費博覧会でバウムを初披露したが、それから3年後にあえなく幕を閉じることになってしまった。

Tmallの発表によると、バウムのフラグシップ店は7月10日から注文受付を中止し、8月10日まではアフターサービスも受け付けるが、それ以降は電話相談のみ受け付けとなる。

天然スキンケアを売り物にしているバウムは競合相手も多い。スキンケア関連はここ数年、無添加の クリーンビューティー(Clean Beauty)がトレンドとなっており、Tmall美粧と美業顔究院(beautydata.ai)が共同発表した「2023年クリーンビューティーレポート」によると、Tmallでのクリーンビューティー市場は2021年~2024年に年平均18%の割合で伸び続け、海外大手ブランドも買収や自社品づくりに乗り出している。中国企業もこれに負けじと動き出し、国内で「花皙蔻(My Cloris Land)」、 「Simpcare(渓木源)」などのブランドが生まれている。

同じくクリーンビューティーを手掛けている資生堂は、中国でバウムが今一つ伸びない状況を見て、ドランクエレファントの方に力を入れるようになった。今年4月に初めて中国に導入し、Tmallフラグシップ店を設けた上、中国各地のセフォラ店で販売しており、2024年末には店舗数を300店とする予定である。

ドランクエレファントはバウムとは異なり、クリーンビューティーが定着しているアメリカ市場で鍛えられており、デザインやカラーもZ世代の好みに一段とマッチしている。資生堂は、定番ブランドの導入と不調ブランドの撤退を進める形で、力の入れ所をかなり鮮明にしている。

(中国経済新聞)