タオバオで五つ星のレディースファッション店、借金7億円超を抱えて消失

2024/05/19 14:30

通販サイト・タオバオで人気のレディースファッション店「少女凱拉」が姿を消し、多くの仕入先業者が代金を手にできないと伝えられた。一部の仕入先が5月14日、この件は事実だと表明しており、広東省広州の沙河でアパレル品卸売り業を営むおよそ300社で合計約3500万元(約7.57億円)が回収できなくなっているという。

この店は、5月12日の時点ではライブ配信をしていたが、13日には倉庫が空になり、店のあった事務所も閉鎖され、5月14日の深夜にタオバオで検索ができなくなった。

「少女凱拉」は、利用者のスクリーンショットを見ると、ネットのレディースファッション店で総合点数は4.4点、年間のリピーター数は100万人以上で商品販売数は90万件、半年間で90万件以上の「いいね」があった。タオバオのセクシー系ファッション店で3位に入っている。

今回の閉店は、利用者にとってかなりショッキングな出来事だったようだ。フォロワー数が500万人以上の五つ星店で売上も好調であり、消失する理由もないと見られている。ところが、この店のように販売数やフォロワーの多いネット店は得てして借金を抱えている。仕入先からすればいずれ消失するものと見られていた。

仕入業者の宋さんは、「今、アパレルの卸売り業界はつらい。通販でレディースを中心に返品率がすごくて、これに送料もかさむので稼ぎが非常に悪い。お客からお金を稼げないので仕入先から稼ぐしかない。例えば、掛け売りをしていて、10元(約216円)で手に入れたものを8元(約173円)で売り、5元(約108円)を返して残りの3元(約65円)を踏み倒して逃げる」と説明している。

通販事業者の阿斌さんによると、アパレルだけでなく様々な業界で代金踏み倒しが横行しているという。ネットでは仕入れ価格より安い値段で売り、赤字状態で利用者を集め、フォロワー数が550万人に膨れ上がって五つ星となる。しかしこれは表向きのもので、実際にはほとんど利益がなく、犠牲になるのは仕入先の利益だという。

仕入先は注文のために掛け売りも認めてしまい、これが続いて掛け売りでなければ商売不能となるなど、業界が悪循環に陥る。掛け売りは、小さな仕入業者からすれば、お金の出所を失う危険性を背負い込むものであり、店からの代金支払いが遅れるとつぶれてしまう。仕入業者が買主に土下座して支払いを求めるといった事態も一部の業種では見られるという。

(中国経済新聞)