中国の医療界で、看護師がピンチに立たされている。全国で400万人が不足しているとのことで、仕事が激務である上に給与も安く、職業として軽視されていることから離職者が増えている。
北京のある総合病院の麻醉科に勤務する李沐さん(化名)は、日ごろ常に重労働である手術関連の仕事が続くので、看護師が人材不足に陥ってしまうと話している。麻酔科は可能であれば約40人の看護師が必要なところであるが、現在は20人あまりにとどまっている。多くの病院でこのような人材不足となっている。
中国国務院は2021年に、看護師の数を増やす計画を打ち出し、医師対看護師を1∶2の割合とするとの目標を掲げたが、現状では1∶1.2以下となっている。専門家によると、こうした問題について、看護師の養成に力を入れ、待遇や仕事への自尊心を引き上げること、さらには医療界への財政支援を拡大することが必要だと見ている。
李さんは通常、朝7時に出勤して手術用の薬を用意し、手術に関する仕事をすべて終えるのは午後6時以降である。同僚もしばしば残業対応しており、祝祭日もなかなか休めない。また天津のある病院に勤める楊さんは、夜勤が月に10~11回あって、40人近い入院患者を受け持っており、看護師としてとても負担しきれない業務を抱えている。
こうした長時間にわたる重労働や安月給で、退職したり配置転換したりする看護師は後を絶たない。広東省の総合病院に勤務する楊怡さん(仮名)は、長年勤務した末、連続の夜勤や負荷の高い仕事には向かないと判断し、配転を求めることにした。
また病院側で看護師の人材不足という現状への取り組みが弱く、十分な管理基準も設けていないことも、このような事態を招く原因となっている。国の基準を厳密に守らず看護師が十分にそろっていない病院も多く、看護師の数が国の定めた患者の収容人数に対する比率をはるかに下回る結果となっている。
こうした問題に対して専門家は、看護に関する料金体系を見直して看護師の賃金を引き上げ、かつ法律や政策を通じて看護スタッフ全体をよりよく成長させていくべきだと提案している。看護スタッフを十分に支え、サポートしていくため、「看護師条例」を「看護師法」に格上げする策も考えられる。
(中国経済新聞)