中国の自動車界でリーダー的な存在であった「上海汽車集団」(以下「上汽グループ」)は、このところ業績が落ち込み、過去にない苦境に立たされている。2023年の決算報告を見ると、売上高は微増の7447.05億元(約15.63兆円)であったが、純利益は12.48%減の141.06億元(約2961.4億円)にとどまった。また販売台数は5.31%減の502.09万台で、下り坂の一途をたどっている。
上汽グループは2023年、目標として完成車の販売台数を前年比10%以上伸ばして600万台とし、売上高を8000億元(約16.80兆円)以上,営業コストを7100億元(約14.91兆円)前後とすると発表していた。
ただし、2024年1~2月の販売台数は前年同期比16.06%減の45.28万台にとどまり、年間目標の達成が厳しくなっている。
上汽グループは激しい競争に見舞われ、地位が他社に脅かされている。中国一汽やBYDは2023年の販売台数がともに前年増であり、特にBYDは上汽グループを圧倒する62.3%プラスであった。
上汽グループは、売上高も販売台数も2018年から6年連続で目標未達であり、販売台数は5年連続の前年割れで、掲げていた「1兆規模」とのビジョンが遠のく一方である。ほぼ毎年、売上、収益とも鼻息の荒い目標を立ててはいるが、実績を見るとすべて未達に終わっている。また外国との合弁ブランドである上汽VW、上汽GM、上汽GM五菱も販売が低下しており、グループ全体の足を引っ張っている。
本業での不振に加えて、子会社の「捷氢科技」の分離上場計画も市場環境の悪化などで頓挫してしまい、事業拡大や資産運用もといった面も試練を迎えている。
上汽グループは、2025年までに世界で戦える1兆元クラスの自動車会社となり、業界内で世界のベスト5に入る、との壮大なビジョンを掲げているが、目下の状況から見て達成はほぼ絶望的である。業績の低下や市場シェアの漸減を受け、これからの成長や中国国内および海外での競争について悲観視されている。
中国一汽やBYDなどの競合他社の成長を受け、「中国トップ」の地位が脅かされている。このような試練を前に、業界内での地位を取り戻し、改革や長期的な成長を図るべく、今後伸びそうな分野や競争計画を探らなければならない。
(中国経済新聞)