昨年は、中国共産党第20回全国代表大会(第20回党大会)の精神を全面的に貫徹するスタートの年であり、今期政府が法に基づき職責を履行する最初の年であった。複雑極まりない国際環境と困難で重い改革・発展・安定の任務を前にして、習近平同志を中核とする党中央が全国各民族人民を団結させ率いて、外部からの圧力をしのぎ、内部の困難を乗り越え、並々ならぬ努力を払ったことで、新型コロナウイルス感染症対策はスムーズな移行を実現して重要かつ決定的な勝利を収め、経済・社会発展の年間主要目標と任務は無事達成され、質の高い発展は着実に進み、社会の安定は守られ、社会主義現代化国家の全面的建設は着実に進んだ。
――経済が全般的に持ち直した。国内総生産(GDP)が126兆元を超え、前年比で5.2%の伸び率は、世界の主要経済体の上位を占めるものであった。都市部新規就業者数が1244万人で、年平均の都市部調査失業率が 5.2%であった。消費者物価が0.2%上昇した。国際収支が基本的に均衡した。
――現代化産業体系の構築に重要な進展がみられた。在来産業の業態転換・高度化が加速し、戦略的新興産業が大いに発展し、未来産業が計画的に育成され、先進的製造業と現代サービス業が高度に融合し、一部の重要な産業イノベーション成果が世界トップレベルに達した。国産大型旅客機 C919型機が初就航し、国産大型クルーズ船の建造に成功し、新エネルギー車の生産台数と販売台数がともに世界全体の60%を超えた。
――科学技術イノベーションにおいて新たなブレークスルーを実現した。国家実験室体系の構築が強力に推進された。基幹核心技術の開発は多くの成果を上げ、航空エンジン、ガスタービン、第4世代原子炉など先端設備の研究開発が大きく進展し、人工知能(AI)、量子技術など最先端研究で成果が次々と生み出された。技術契約の成約額が28.6%伸びた。イノベーションによる牽引力が高まり続けた。
――改革開放がいっそう進んだ。国の新たな行政機構改革がおおよそ完成し、地方行政機構改革が秩序立てて進められた。全国統一大市場づくりを強化した。国有企業改革の継続的推進による高度化行動を推進し、民間経済成長促進政策をうち出した。自由貿易試験区の立地適正化がいっそう進んだ。輸出ベースの世界貿易シェアが安定し、外資の実質利用が最適化され、「一帯一路」共同建設の国際影響力と感化力がいっそう高まった。
――安全発展の基盤がいっそう固められた。食糧生産量が6億9500万トンとなり、再び過去最高を更新した。エネルギー・資源の供給が安定した。重要産業チェーン・サプライチェーンの内製化が進んだ。経済・金融の重点分野のリスクが着実に解消されていった。現代化インフラの整備が不断に強化された。
――生態環境が着実に改善された。汚染対策堅塁攻略戦を踏み込んで展開し、主要汚染物質の排出量がさらに減尐し、地表水と近海の水質が改善し続けた。「三北」プロジェクトの堅塁攻略戦が全面的にスタートした。再生可能エネルギー発電の設備容量が史上初めて火力発電を超え、年間導入容量が世界全体の半分を超えた。
――民生への保障が強力かつ効果的であった。住民1人当たり可処分所得が6.1%伸び、都市と農村住民の所得格差が引き続き縮小した。貧困脱却堅塁攻略の成果が定着・拡大し、脱貧困地域の農村住民の所得が8.4%伸びた。義務教育、基礎年金、基本医療保険などの公費負担額を拡大し、救済保障の対象範囲を広げた。個人所得税の老人扶養・幼児保育控除額を引き上げ、6600万人以上の納税者がその利益を受けた。都市部老朽住宅地の改修と保障タイプ住宅の供給を強化し、1000万を超える世帯が恩恵を受けた。
昨年を振り返ると、幾重にも困難と課題が重なり、経済が波状的発展をし、曲折的前進をする中で、以上の成果を収めるのは容易ではなかった。国際的には、世界経済の回復は力強さに欠け、地域紛争は激化し、保護主義、一国主義は進み、外部環境がわが国の発展にもたらす影響はますます強まった。国内においては、3年間続いたコロナショックを受け、経済の回復自体に多くの難題を抱え、長年の潜在的な問題がにわかに顕在化し、加えて新たな状況や問題が次々と生じた。外需の低迷と内需の不振が同時にみられ、周期的問題と構造的問題が併存し、一部地区で不動産、地方債、中小金融機関などのリスクが顕在化し、一部地域は洪水、台風、地震などの深刻な自然災害に見舞われた。このような状況下で、政策決定と行政運営において非常に難しい選択を迫られることが明らかに増えた。全国民が一丸となって努力した結果、年間の所期目標が達成されただけでなく、さまざまな面で上向きの変化が現れた。とりわけ、われわれは新時代の経済運営法則に対する認識を深め、大きな困難を乗り越える貴重な経験を積んだ。習近平同志を中核とする党中央の力強い指導の下、中国人民はいかなる困難にもうち勝つ勇気と知恵と能力を持ち、中国の発展は必ずや風に乗り波を突き破って明るい未来を切り開く、ということが実践によって十分に明らかである。
この一年、われわれは第20回党大会と第 20 期中央委員会第2回全体会議の精神を深く学習・貫徹し、党中央の決定に従い、主に以下の取組を行った。
①マクロ経済政策運営を強化し、経済の持続的な好転を推進した。厳しい試練とポストコロナの経済回復の特徴をふまえて、われわれは経済成長の安定化と持続力の強化を一体的に進め、基盤固めを優先させ、的確な施策を打つことを重視し、効果を見極めた上でマクロ経済政策実施のタイミングと度合いを調整し、カウンターシクリカル調節を強化し、「ばらまき」と一時的な強い景気刺激策をとらず、質の高い発展の推進にいっそう注力し、昨年の経済は低調な序盤から好調な中盤、そして安定した終盤へと推移した。内需拡大、構造の最適化、景況感の改善、リスクの防止・解消に関する一連の一時的政策を延長し、その内容を充実させ、一連の新政策を適時に推し出し、政策パッケージを強力で効果的なものにした。財政政策はいっそう強化され効率的になり、重点分野の予算確保を強化し、通年の新たな減税・料金引き下げ額は2兆2000億元を超え、1兆元の国債を追加発行して災害復旧・復興支援と防災・減災・災害救助能力の向上に充てた。金融政策は的確で強力であり、預金準備率と政策金利をそれぞれ 2 回引き下げ、科学技術イノベーション、先進的製造業、小企業・零細企業、グリーン発展などへの貸付額は大幅に増えた。自動車、内装、電子製品、観光などの消費促進政策をうち出し、耐久財消費は着々と回復し、個人のサービス消費は加速度的に回復した。政府投資の呼び水効果を発揮し、民間投資促進政策を策定し、エネルギー、水利などインフラと製造業への投資は急速に伸びた。都市ごとに不動産政策が見直され、住宅ローンの金利引き下げを推し進め、住宅引渡し保証事業を積極的に推し進めた。地方債償還施策パッケージを策定して実施し、金融リスクに類別に対処し、システミックリスクを生じさせないという最低ラインを守り切った。
②イノベーションによって産業高度化を牽引し、都市・農村・地域の発展の新たな原動力を増強させた。国家戦略的科学技術力を強化し、重要科学技術プロジェクトの実施を加速させた。新型工業化を全面的に計画して推進した。工業経済の経営を安定させ先進的製造業を支援する措置をうち出し、重点業種・企業の研究開発費加算控除率を引き上げ、重点産業チェーンの質の高い発展を推し進め、工業企業の利潤(税引前利益)は下落から上昇に転じた。デジタル経済が加速度的に発展し、5Gの契約数は50%を超えた。新型都市化戦略を踏み込んで実施し、都市への転籍規制をいっそう緩和し、県城の人口支持力を強化し、常住人口ベースの都市化率が66.2%まで上がった。農業支援策を強化し、農業生産を守るために強力な防災減災対策をとり、新たに食糧5000万トン増産計画を実施し、農村振興は着実に進んだ。地域間調和発展の体制・仕組みを整備し、地域重要戦略を実施する中で一連の新措置をうち出し、一連の重要プロジェクトを実施し、地域間発展の調和性と均衡性が不断に高まった。
③改革を深化させて開放を拡大し、ビジネス環境を持続的に改善した。全国統一大市場づくりのマスタープランをうち出し、公平な競争を阻害する政策・規定を廃止した。それぞれ国有企業、民間企業、外資企業向けの支援策をうち出し、政府と企業の継続的意思疎通の仕組みをつくり、政府契約にかかわる下請代金支払遅延特別対策を行い、課徴金にみられる不正行為の取締りを強化した。財政・金融、農業・農村、生態環境保全などの分野の改革を深化させた。貿易の規模安定化と構造最適化を推進し、電気自動車、リチウムイオン電池、太陽電池製品の「新三種」の輸出額が 30%近く増えた。対中投資促進政策を策定し、制度型開放を拡大した。「一帯一路」共同建設の質の高い発展を着実に推進し、協定を結んだ国々との貿易・投資は急速に伸びた。
④生態環境保全を強化し、発展のグリーン化を加速させた。「美しい中国」の建設を踏み込んで推進した。「青い空、澄んだ水、きれいな土を守る戦い」に持続的に取り組んだ。指定地域生態系保全・復元重要プロジェクトの実施を加速させた。土壌水食・砂漠化総合対策にしっかりと取り組んだ。生態環境保全監察を強化した。グリーン・低炭素産業促進政策を策定した。重点業種の超低排出化に向けた改良を推進した。第 1 期の二酸化炭素排出量ピークアウト試行都市・産業パークの整備をスタートさせた。グローバル気候ガバナンスに積極的に参与し、それを後押しした。
⑤民生保障に力を入れて取り組み、社会諸事業の発展を推し進めた。大衆の社会的関心に着目し、社会課題の解決にしっかりと取り組んだ。雇用確保を大いに重視し、企業の雇用確保・創出支援策をうち出し、大学新卒者など重点層向け就業支援を強化し、脱貧困者の就業規模が3300万人を超えた。義務教育改善の取組を強化し、「ダブル軽減」をしっかりと行い、貸与型政府奨学金の上限額引き上げと金利引き下げにより1100万人余りの学生が恩恵を受けた。新型コロナに対し乙類移行後の対応を行い、インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎など感染症の予防・治療にしっかりと取り組んだ。外来診療費を職工医療保険の適用対象とした。コミュニティ総合サービス施設の整備を推し進め、高齢者への食事提供サービスを大いに発展させた。恩給年額を引き上げた。生活困窮者の最低限度の生活を維持するための支援を強化した。海河流域などの超大規模水害に効果的に対応し、甘粛省積石山地震などの救援活動をしっかりと行い、復旧・復興に力を入れた。文化の伝承・発展を推し進め、観光関連産業は全面的に回復した。大衆スポーツが盛んになり、成都 FISU ワールドユニバーシティゲームズ、杭州アジア競技大会・アジアパラ競技大会を成功裏に開催し、わが国のスポーツ選手たちは健闘し優れた成績を収めた。
⑥政府づくりを全面的に強化し、ガバナンスの効果向上に大いに注力した。習近平同志を中核とする党中央の権威と集中的・統一的指導を断固として守り、党中央の決定を貫徹する実行者、行動派、実務家としての務めを十分に果たす。習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想の学習・貫徹というテーマ教育を踏み込んで行った。あくまで政治建設を最優先させ、政府の職責履行能力を全面的に向上させた。全国人民代表大会常務委員会に 10 本の法案を提出して審議を求め、25 本の行政法規を制定または改正し、行政強制質的向上 3 ヵ年行動を実施した。すすんで法に基づいて監督を受けた。人民代表大会代表の提言と政治協商会議委員の提案に真摯に対応した。調査・研究を重視し、実際に即した、民意を反映した行政運営であるよう努めた。監察業務を改善した。党風・廉潔政治建設と反腐敗闘争を強化した。中央の「八項目規定」の精神を厳格に実践し、「四つの悪風」を継続して正し、金融機関、国有企業などの巡視後の改善・是正を力強く推し進めた。都市・農村の末端ガバナンスを刷新・拡充した。陳情取り扱い業務を着実に行った。労働安全と危機管理に力を入れて取り組み、重大事故につながるリスク要因の調査・除去特別行動を行った。国家安全保障体系の整備を推進した。総合治安対策を強化し、特殊詐欺・インターネット詐欺など犯罪行為を効果的に取り締まり、「平安中国」の建設は新たな進展がみられた。
この一年、中国の特色ある大国外交が全面的に進められた。習近平主席をはじめとする党と国の指導部の面々は多くの国々を歴訪し、ブリックス(BRICS)首脳会議、アジア太平洋経済協力(APEC)非公式首脳会議、東アジアサミット(EAS)・関連会議(ASEAN+1、ASEAN+3 など)など重要な多国間・二国間交流活動に出席した。中国・中央アジアサミット、第 3 回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムなど重要なホームグラウンド外交を成功させた。人類運命共同体の構築を推進し、グローバル発展イニシアティブ、グローバル安全保障イニシアティブ、グローバル文明イニシアティブを実践し、グローバル・パートナーシップを深めて開拓し、地球規模の、または地域的な緊張や紛争などの解決に積極的かつ建設的な役割を果たした。中国は世界の平和と発展を促すために重要な貢献をした。
代表のみなさん
この一年で以上の成果を収めたその根本は、習近平総書記のかじ取りにあり、習近平「新時代の中国の特色ある社会主義」思想の科学的な導きにある。また、これらの成果は習近平同志を中核とする党中央の力強い指導のたまものであり、全党・全軍・全国各民族人民の団結奮闘のたまものである。わたくしは国務院を代表して、全国各民族人民、民主諸党派、各人民団体ならびに各界の方々に対して、心から感謝の意を表すものである。また、香港特別行政区の同胞、澳門特別行政区の同胞、台湾の同胞ならびに海外の華僑同胞に対して、心から感謝の意を表すものである。そして、中国の現代化建設に関心を寄せ、力添えいただいている各国政府、国際組織、各国の友人のみなさんに対して、心から感謝の意を表すものである。成果を肯定する一方で、われわれは直面している困難と課題を冷静に認識している。世界経済が成長力に欠け、地域的な緊張や紛争などが頻発し、外部環境の複雑性、厳しさ、不確実性が増している。中国経済の持続的に回復し上向く基盤がまだ盤石ではなく、有効需要が不足し、一部産業の生産能力が過剰であり、成長期待が相対的に低く、リスク要因が依然多くあり、国内大循環が目詰まりし、国際循環が妨げられている。一部中小企業の経営は厳しい状況にある。雇用機会の不足とミスマッチ失業が併存し、公共サービスには改善すべき点が多々ある。一部地方の財政がかなりひっ迫している。科学技術イノベーション能力はまだ強くない。重点分野の改革は多くの岩盤に直面している。生態環境保全対策は前途多難である。労働安全の問題点は無視ではない。政府活動には不十分な点があり、形式主義・官僚主義が依然として目立ち、一部の改革措置が徹底されていない。一部の幹部は責任感と職務意欲に欠け、仕事に消極的で責任逃れをし、うわべだけを飾り立てている。一部の分野では腐敗問題がなお多発している。われわれは必ずや課題と試練にしっかりと向き合い、心力を尽くして職務を全うし、人民の期待と切なる負託に確実に応えていく。