自動車製造に200億元以上を投入しながら9年間で販売10台

2024/03/3 08:30

2月26日、中国ネット動画企業「楽視網信息技術」の創業者である賈躍亭氏が創設したEVベンチャーの「ファラデー・フューチャー」(FF)は、会社の現状と2024年事業計画を示したグローバルCEOのMatthias Aydt氏の公開メッセージを発表した。

この中で、限られた予算や深刻なグローバル経済の後退(EV産業構造の絶え間ない変動など)を前にしながらも大きく進歩したと表明している。2023年は販売、納車の段階に入り、顧客の獲得・納車・顧客運営という経営サイクルが出来上がったほか、アメリカの業界リーダーが続々と初回分を購入した上、開発者や提携者となったという。さらに経営の基盤が変わって優れたマネジメントスタッフになったという。「事業拡大のかなめの時期であり、これからの成長ステップへの好機であると信じている」とのことである。

メッセージによると、FFはこれまでにEVプラットフォーム、I.A.I技術、製品開発、製造体制作りへ30億ドル(4523億円)を投資している。発表済みの2023年第3四半期決算によると、純資産額は2.618億ドル(約395億円)である。今後は一流人やオピニオンリーダーへの売り込みを続けるほか、次世代車種のFF 92を開発して製品や技術力におけるメリットを維持するという。

Matthias Aydt氏はまた、「中東」をかなり強調している。中東市場向けの限定版車種FF 91 2.0 Futurist aiFalconを今年引き渡す予定であるほか、今後は中東での産業化を急ぎ、製品の技術参入や現地化を果たした上、顧客の収益構造を確立していくという。業界的に見ても、今の中東は事業者が数多く、勝ち抜くのは容易なことではないとしている。

またFFは、融資についても引き続き進捗があり、さらに新たなラウンドの融資を受ける見込みという。「転換約束手形の株式化を引き締めた上でATMとELOCを使用中止とする。月次の現金支出はすでに削減しており、新たな成長ステップへ不要な出費を抑え、一方で事業への投資はバランスをとっていく。これは成長する際に大切なことだ」という。 なおFF は、設立は2014年であるが、最初の量産車種FF 91がラインオフしたのはそれから9年も経った2023年である。91 Futuristの生産発表会で賈氏は、「夢に向けて苦しかった9年間、わかってもらえない狂気じみた粘りと敢然たる努力を経て、今日に至った」と述べた。ただし、「2023年にFF 91 2.0 Futurist Allianceを10台引き渡し」ということはつまり、賈氏は自動車を始めて9年間で売れたのはたった10台である。またそのうち1台は賈氏本人のものである。去年11月に発表された2023年第3四半期の決算を見ると、初めて収益を生んだものの、販売費用が1610万ドル(約24.3億円)で、営業赤字が6640万ドル(約100億円)となっている。なお2022年同期は8000万ドル(約120億円)の赤字計上であった。

(中国経済新聞)