春節前の明るく楽しいムードに包まれた中国は2月9日20時、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループによる2024年の年越し番組「春節聯歓晩会」が放映された。辰年の今年は、遼寧省瀋陽、湖南省長沙、陝西省西安、新疆ウイグル自治区カシュガルの4か所と北京を接続させる「1+4」との形をとり、賑やかで華やかな文化の祭典を演出して見せた。
中国の「人民日報」によると、今年の年越し番組「春晚」は、ニューメディアのライブ配信の視聴者数と視聴回数が過去最高となった。北京時間2月9日24時現在、中国中央テレビ局本部局放映分は視聴者数が6.79億人、視聴回数は去年の12.69%増しとなる15.01億回となり、「縦画面」では再生数が去年を57.58%上回る4.2億回、閲覧者数は37.97%増えて2.5億人に達した。
番組の中で、どういった部分に技術力が披露されたか。
今回、番組の最初の見せ場は、李白とチャン・ルオユンの酒を飲みながらの詩歌だった。
陝西省西安の会場における「山河詩長安」、李白の足並みとともにタイムスリップして最盛期の長安を味わうものだった。
番組では、観衆が西安を象徴する建物をスマホでスキャンして、李白が長安の城で酒を飲み詩を作り、琵琶を演奏する姿を「臨場感」たっぷりに見た。また李白が大雁塔のわきに立ち、杯を掲げながら詩を吟唱していた。
極めてリアルでよどみのない李白の動きは、元客視界のFZMotion(モーションキャプチャーシステム)で再現されたものである。スマホのARで李白の動きを安定かつ正確な形でアニメーション化した上、制作の際にFZMotionとアニメリハーサルを同時進行する形をとり、プロデュース側が人物の動きや進み方、表情を見やすいようにしている。
今年はまた、ネットで大人気のパンダ「花花」もやって来た。「デジタルパンダ」として、周深とともに八段錦を披露している。
バーチャル合成により時代劇の衣装で出演しているように見せるスペシャルプログラムの「年錦」では、4人の俳優がそれぞれ漢、唐、宋、明の時代の衣装をまとって、時代にふさわしい飾りと振り付けを披露してくれた。
歌曲+バーチャル合成との結び付けで、はるか昔の文化が「春晚」の舞台で再現したのである。
またステージダンスの「錦鯉」では、踊り手の動きに合わせて足元で水しぶきのようなものも移動し、あたかもニシキゴイが水面をはねているように見えた。
技術と伝統文化の融合、ロボットアームによるハンカチ回し。もともとテスト用だった機械が、今はステージの縦横を修正するのに使われている。
ドローンの群れが渾河の上空で雪や飛行機など様々な形に変化。
湖南省長沙の会場もなかなかメカニックだった。長沙中聯重科のスマート産業パークで、5G+産業IOTやAIなどの先進技術を生かし、6分おきにショベルカーが製造され、17分おきにクレーン車が製造され、27分おきにコンクリートポンプ車が製造されている。
本部局での春晚は、VP(バーチャルプロダクション)の映画制作モデルが導入され、XR(拡張現実)と交えてのハイビジョンシステムを形成し、カッティングリハやボリュメトリックビデオといった最新の撮影手法を使っており、極めてリアルに見えるイメージを作り上げている。ステージはまるで竜の形を描くような光線を放つ装置が設けられ、「空を行く竜」との姿を生き生きと表現している。
膨大な数のLED画面は、本部局で独自開発した超ハイビジョンの映像監視システムでコントロールする形で、舞台デザインが切り替えられている。
さらには、「百の都市で千の画面+海外で千の画面+クラウド」とのマルチ体制により、ライブをリアルタイムで視聴することができた。中国100以上の都市で屋外のハイビジョン画面が計1000か所以上設けられたほか、世界6大陸の34か国、70都市で同じく3000か所あまりのスクリーンを通じて、番組がライブ配信された。
(中国経済新聞)