韓国、対中貿易が31年ぶりの赤字

2024/01/16 17:30

韓国の産業通商資源省が発表した2023年の貿易に関するレポートによると、中国との貿易額は180億ドル(約2.62兆円)のマイナスで、国交を樹立した1992年以来2度目の赤字となった。韓国にとって中国は最大の貿易相手国ではあるが、輸出の競争力が弱まったこと、また韓国製の中間材料に対する中国からの需要が減ったことが赤字の主な理由である。

韓国は対中貿易について、1992年以降は黒字が続いており、2013年には黒字額がピークの628億ドル(約9.16兆円)となった。しかし、単月ベースで2022年10月から赤字となり、2023年上半期の中国向け輸出額は輸出全体の19.5%で、2021年の25.3%から大幅に減っていた。

こうした変化について、ソウル総合科学技術大学院大学のホアン・フェイ主任教授は、中国市場に対する依存度が高すぎること、また中国の急速な成長に対応できていないことを理由に挙げている。また、中国は製造業の競争力が高まって韓国製の中間材料に頼らなくなっているという。

ホアン教授は、「中韓両国の国交樹立から30年余りが過ぎ、取引商品も鋼板や繊維など単純な軽工業や重化学品から、半導体を中心とする付加価値の高い中間材料へと変わっている」と述べる。つまり中国の製造業が進歩したことで、技術力の高い産業で両国が輸出を争うようになっているという。

また韓国産業研究院の「2024年経済産業展望」では、中国の製造業の自給率上昇で韓国の中間材料の輸出が減っていると指摘している。韓国貿易協会のまとめでは、2023年上半期の対中輸出額は輸出額全体の19.5%で、2021年の25.3%からかなり落ち込んでいる。また、水酸化リチウム、硫酸ニッケル、硫酸コバルトなど車載電池の主要原材料で中国への依存度が著しく、貿易赤字が一段とかさむ結果となっている。

ホアン教授はまた、サプライチェーンにおける米中間のあつれきや、中国に対する韓国政府の対応の変化も、主力製品の対中輸出に影響していると言う。韓国は、製品が中国で売れなくなる一方、中国の資源や原料に対する需要が増え、産業界で中国への依存度が一段と強まって、貿易がさらに不平衡になっている。

(中国経済新聞)