トニー・レオンとアンディ・ラウが共演する「ゴールドフィンガー」

2024/01/1 14:30

トニー・レオンとアンディ・ラウが、映画「ゴールドフィンガー」で20年ぶりの共演を果たした。「インファナル・アフェア」(無間道)以来のタッグを組んだ2人は今回、悪役と善人役を入れ替えている。

作品の脚本と監督を務めた荘文強氏は「インファナル・アフェア」シリーズで脚本を務めていたほか、「無双」「盗聴犯 ~死のインサイダー取引」(窃聴風雲)などでもメガホンを執っている。12月24日に上海で行われたプレミアショーで荘氏は、「ゴールドフィンガー」はちょっと変わった香港の犯罪映画だ、と言った。「見る方は常に進歩しているはず。もう2023年であり、運び屋やスパイもの、相手に銃を突きつけるような役柄はもう見せるべきでない」と語っている。

©︎Emperor Motion Pictures

荘氏は、今は重大な犯罪はえてしてインターネットや金融で発生するものと見ており、「香港映画もいつまでも『古惑仔』の時代で止まっていてはならず、今は刃物を出して金を奪う人などいない。強盗で手に入るのは何十万元とか100万元(数百~1000万円)だが、詐欺なら数億元(数十億円)はいく」と述べている。

「ゴールドフィンガー」は、1980年代に香港を騒がせた、大手企業「佳寧集団」をめぐる汚職詐欺事件をモデルにしている。香港当局の「廉政公署」は当時、この事件を調査するため8か国に足を運んだ。映画のモデルとなった犯人の陳松青容疑者は、若いころにシンガポールでの商売に失敗して破産し、1970年代に香港に移り住んで佳寧を立ち上げ、1980年に裏口上場を果たした。わずか1年で株価が10倍以上に膨れ上がり、後に10億香港ドル(約181億円)で金門ビルを手に入れてすぐに転売し、金に換えた。この情報が広まって株が売れまくり、会社は猛然と事業を拡張し、アメリカのオーランドにまで進出した。

佳寧集団はしかし、それから3年も経たずに解散し、当時アジア最大の倒産となった。その後の調査で、佳寧は解散時に106億香港ドル(約1917億円)の債務を抱えていたことが分かり、1980年に会社を一躍有名にした金門ビルの売却も実際には行われておらず、名義上の個人の会社に売っており、得ていた金額は単に帳簿上のものだった。

映画の「ゴールドフィンガー」は、いかにして金融神話が描かれ、破滅に至ったかを描いている。トニー・レオン演じる程一言は、一見成功に導く天才に見えるが、その実は手段を選ばずルールを無視する詐欺である。その「レジェンド」ぶりは100万元(約1000万円)のだまし取りに端を発し、最後は100億元(約1000億円)に及ぶ詐欺行為を働く。

(中国経済新聞)