Moderna上海工場、テスラ並みのレベルに mRNA生産をトータルカバー

2023/12/3 08:30

上海で今月、Moderna社の中国初の工場が着工する。関係筋によると、生産や開発の拠点となるこの工場では、薬の素材から製品、特殊抗原の生産までをカバーし、mRNAの産業チェーン全体をレベルアップするものという。

この事業は、レベル的にテスラに匹敵するものとなる。Modernaと上海市閔行区政府との契約によると、初期事業の投資額はおよそ36億元(約746億円)で、のちの生産や開発への投資を含めると10億ドル台(約1481億円)になりそうである。

業界内では、Modernaが上海に立地することで中国のバイオメディカル産業は新旧交代が進み、新エネ車業界におけるテスラに匹敵する効果が得られるものと見られている。

mRNA分野で世界大手3社に数えられるModernaは、新型コロナウイルス流行時に新たなバイオ技術を見出し、コロナ禍でのワクチン売上増により時価は一時期2000億ドル(30兆円)近くに達した。ただし今はコロナ禍の前まで落ち着いている。

あるベテラン研究員はmRNAの長所について、「技術プラットフォームのデザインが容易である。一部のワクチンや予防薬について、従来おおむね6~9か月かかっていた実験室から薬になるまでの開発期間がわずか48時間と大幅に短縮され、開発費用が軽減する」と述べている。

この研究員はまた、mRNAワクチンは従来のワクチンに比べて生産工程がシンプルで細胞を培養する必要もないと述べている。mRNAの薬も細胞核に侵入しないので、宿主ゲノムに侵入する可能性も弱まり、半減期は修飾により調節が可能である。

Nature Reviewの概算予測によると、2035年までにmRNA予防薬や治療薬の世界の市場規模は300億ドル(約4.44兆円)に達し、またmRNA療法については2025年~2035年に年平均68%の割合で伸び続けていくという。

(中国経済新聞)