卒業制作が日本上陸!中国映画『宇宙探索編集部』の魅力とは

2023/11/13 17:30

JR新宿駅の中央東口を出て、歩くこと2分、今日の目的地である新宿シネマカリテの入り口が見えてくる。同映画館は、新宿武蔵野館の姉妹館として2012年12月にオープンしたミニシアター。世界中から集められた作品を目当てに連日多くの人が訪れ、映画館へと続く黄色い階段はインスタ映え間違いない。

新宿シネマカリテでは、好評につき『宇宙探索編集部』の上映が11月16日(木)まで延長され、16時40分から毎日上映されている。

チケット(ネットでも購入可)を購入した後、1番スクリーンへ入場。座り心地の良い赤いシートに身をゆだね、いざ映画の世界へ!

今日紹介する『宇宙探索編集部』は、映画大学の卒業制作でありながら中国で大ヒットした異例の作品。そして、その勢いは中国国内に留まらず、数々の国際映画祭で話題をさらい、イギリスやオーストラリアの映画雑誌からも高く評価されているというから驚きだ。

本作の舞台は、中国。主人公タン・ジージュン(唐志軍)は、30年前に一世を風靡したUFO雑誌『宇宙探索』の編集長を務めているものの、今や編集部員も減り廃刊寸前に追い込まれている。そんな時、中国西部の村に宇宙人が現れたという情報が入る。タンは、宇宙人の存在を信じ、半ば強引に仲間を引き連れ、電車、車を乗り継ぎ西へと向かう。そんなタンを最後に待ち受けていたのは、予想をはるかに超える出来事だった・・。

コン・ダーシャン(孔大山)

メガホンを執ったのは、1990年生まれのコン・ダーシャン。四川伝媒学院で映画作りを学んだ後、2015年に中国最難関の映画専門大学・北京電影学院の大学院に入学。同年に制作した短編映画『法制未来時(法制の未来形)』が、インターネット上で大人気となり、将来を嘱望される学生の一人に。そして、卒業制作に取り掛かった2019年、北京電影学院の副教授であり、大ヒット映画『こんにちは、私のお母さん』のプロデューサーとしても有名なワン・ホンウェイ氏の支援の下、『宇宙人を探す物語』の制作に乗り出す。そして、ワン副教授とともにコンを支えたのが、世界的ベストセラー『三体』の人気作家・劉慈欣(リウ・ツーシン)の小説を原作にした大ヒット映画『流転の地球』のグオ・ファン監督。劇中にも映画監督としてカメオ出演しているので、ぜひ見逃さないでほしい。他にもベルギー出身のマティアス・デルヴォー氏がカメラマンとして参加している。

本作の大きな魅力の1つである脚本は、2019年から2020年初めまでにコン自身によって書かれ、特にセリフの中に現れる詩は、映画の世界観を巧みに作り出している。ぜひ、中国若手監督の作品を通して、中国の社会や文化を堪能してほしい。

(中国経済新聞)