ヨーロッパ最大の自動車ショー「ドイツ国際自動車ショー」が9月4日、ミュンヘンで開幕した。BMW、メスセデス・ベンツといったドイツの自動車メーカーの他、世界各国の有名メーカーが多数出展している。今年は、BYD、零跑汽車(Leap Motor)、小鵬(Xiaopeng)など中国メーカーの出展数が倍増した。
中国の電気自動車(EV)メーカーBYDは、ドイツ国際自動車ショー初日に「SEAL(海豹)」2車種を欧州市場で販売開始すると発表した。AWDデュアルモーターの価格は5万990ユーロ(約945万円)、シングルモーターの価格は、4万4900ユーロ(約708万円)となっている。そして、その価格が今、業界内で様々な議論を呼んでいる。同車種の中国での販売価格は、18万9,800元~27万9,800元(約382万~約563万円)で、欧州の価格よりかなり低い。
昨年9月末、BYDは欧州市場向けに漢(Han)、唐(Tang)、元(Yuan)PLUSの3車種を発表。3車種の価格は全て、中国より高かった。このうち、元PLUSのドイツでの予約価格は3万8000ユーロ(約600万円)なのに対し、中国では13万7800元~16万5800元(約277万~約334万円)で、ドイツでの販売価格は中国よりも約2倍となっている。
欧州市場での価格が中国国内よりも高いという現象は、ごく一般的なことでBYDに限った話ではない。同じく中国のEVメーカー蔚来汽車(NIO)が販売しているET7は、昨年10月から欧州での販売を開始。欧州での価格は8万1900ユーロ~9万900ユーロ(約1295万~約1565万円)であるのに対して、中国国内では45万8000元~53万6000元(約909万~約1082万円)で販売されている。
地元欧州の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンも、価格設定に同様のアプローチを採用している。電気自動車「ID.3」はドイツでは4万ユーロ(約632万円)近くで販売されているのに対して、中国では1万5,000ユーロ(約237万円)と、もう1台購入できるほどの価格差がある。
フォルクスワーゲンの広報担当者はドイツメディアの取材に対し、欧州と中国の価格差について、1つは中国市場が生産コストで有利であること。2つ目はIDモデルの供給元が全て中国であり、輸送ルートが短く生産コストが安いため、中国での販売コストが安いこと。3つ目は中国市場が激化しており、フォルクスワーゲンも値下げせざるを得ないことを挙げている。
スイス金融大手UBSは、2030年までに中国ブランド車の市場シェアは2022年の17%から33%に上昇し、欧州市場でのシェアは昨年の3%から20%に上昇すると予測している。
(中国経済新聞)