台湾の半導体メーカー・TSMCが、アメリカのアリゾナ州で大学3校と提携して半導体技術者の「早期確保」を目指す取り組みを始めた。10日間の受講料と受付費用合わせて1万台湾元以下であり、州の住民であればカリキュラム修了後に全額を返還するという。アメリカのニュースサイトAxiosによると、現地のエストレーラ・マウンテン・コミュニティ・カレッジ(EMCC)ではTSMCの社員も教鞭を執り、修了すれば入社面接の場も得られるという。EMCCは「10日間であなたの人生を変える」などと宣伝している。
TSMCはカリキュラムの内容について、半導体製造のベーシックや基本技能などであり、半導体産業に興味がある人はきちんと仕事内容を学べるという。ただ採用の可否については、書類選考や面接の結果による。採用されれば時給は平均30ドル、年収は6万ドル以上などとも伝えられている。
専門人材の不足に悩むTSMCは、アリゾナ州の工場で2024年末に始める予定だった4ナノメートルの量産を2025年に延期すると発表した。これに対して州最大の労働組合は、低賃金の労働者を集めるためだなどと反発している。またアメリカの技術系メディア「9to5Mac」は、「TSMCはおよそ500人の台湾人にアメリカ行きのビザを与えようとしたが、アリゾナ州の組合はアメリカ人労働者の雇用を守るため、議員に対しビザ発給を止めるよう申し入れをした」と伝えている。アカウント「スタンド・ウィズ・アメリカン・ワーカーズ」では、「TSMCはアメリカ人労働者を侮辱し、安価な労働者を搾取しようとしている」と非難している。
(中国経済新聞)