BASF、上海イノベーションパークへの投資額が450億円近くに達する

2023/06/29 21:30

ドイツの化学大手BASFは 6月28日、上海のイノベーションパークで三期目のプロジェクトとなる研究開発棟2か所の建設を完了した。BASFは、中国およびアジア太平洋地域の需要に応えるため、2012年から10年間で上海におよそ2.8億ユーロ(約441億円)を投資している。

BASFにおけるアジア太平洋最大の開発拠点である上海イノベーションパークは、これまで2015年と2019年に拡張を果たしていた。今回のプロジェクトは、ポリマーの回収技術や先進素材などの開発といった、サステナブルソリューションの研究をする建物2か所の建設であった。

BASF大中華圏の会長兼総裁である楼剣鋒氏は、「研究開発への投資を続けることで、今後もEVやハイテク製造業、再生可能エネルギ―などの急速な成長を支えていく」と述べている。

グローバル経済の低迷により、大手外国企業が中国での新たな事業の実施を見送る動きも見られる。BASFグループ研究所のDetlef Kratz総裁は、このような中で中国での研究開発を続けていく理由について、「中国のイノベーション力はここ数年で大きく向上している。10数年前や20年前、外国企業であるわれわれは、より利用者に近づくことを目標に掲げた。今は中国の研究機関が提携を求めていることを強く感じている。BASFが提供するのは世界的なネットワークだ」と述べた。

BASFは中国で、研究開発だけでなく生産設備への投資も拡大している。今年3月には、広東省湛江市で建設を発表していた統合生産基地で、アクリル酸の総合生産設備を着工している。この生産基地への投資額は2030年までに100億ユーロ(約1.58兆円)に達する見込みである。

(中国経済新聞)