今年の「高考」、史上最多の1291万人が受験

2023/06/2 17:27

中国全土で、1年の中で最も緊張感のある4日間が始まろうとしている。今年は史上最多の1291万人が受験するとされ、受験生たちは当日に向け最後のラストスパートに入った。

中国では、毎年6月7日~10日まで「高考」(ガオカオ)と呼ばれる大学入試試験が実施される。現代版「科挙」(隋の時代から清朝末期まで約1300年続いた高級官僚を登用するための試験制度)と称されるように「世界で最も難しく厳しい入試試験」とされ、1年に1度しかチャンスがない。

また、中国の入試試験は、それぞれの省や直轄市で試験内容が異なり、定員枠も異なる。そのため、本籍地によって学生のプレッシャーも大きく異なり、北京市や上海市などの直轄市(中国で最高位の都市)では、独自の試験が実施され、地元にある北京大学や清華大学、復旦大学への定員枠が他の地域に比べ多くなっている。

一方で、河南省、江蘇省、山東省、河北省、湖北省から名門大学へ入学するのは最も難しいとされ、試験問題が難しいのもさることながら、受験者数でも群を抜いている。2022年の河南省における受験者数は125万人で最も多く、清華大学の理系の学部へ入学したい場合最低でも凡そ684点(満点750)、文系の学部でも652点必要とされ、北京に本籍をもつ学生に比べ入学するのが難しいとされている。他方で、まだ貧しい地域が残るチベット自治区や青海省では、より多くの学生が大学へ入学できるよう優遇措置が取られている。

入試試験の当日は、受験生の両親、高校の先生、後輩、地域の人たちが受験会場の正門で、受験生を送り出す。その光景も「高考」の定番となっており、心配そうに子供を見つめる父親や母親の姿に、家族総出で受験に臨んでいることが伝わるってくる。また、近しい人以外にも当日は警察が全面協力し、遅刻しそうな受験生を受験会場まで送り届けるということも行なわれている。

今年の「高考」もあと5日で当日を迎える。勉強に勤しんできた受験生が、重圧から解放され遊びに行ける日が、もうそこまで来ている。

(中国経済新聞)