中国の家電メーカー「グリー電器」で、将来のトップ候補と言われた孟羽童(Meng Yutong)さんが先週退社し、論議を呼んでいる。グリーの市場部の社員は5月16日、メディアに対し、孟さんは退社でなく会社の紀律に違反したことで「解雇」されたと語った。社内でしばしば私的なビジネス活動を行っていたとのことで、会社から指摘されても行いを改めなかったという。
2021年9月に入社した孟さんに対し、会長兼総裁の董明珠(Dong Mingzhu)氏は「第二の董明珠」に育てるつもりと公言していた。孟さんはまず「会長秘書」となり、2021年の「独身の日セール」でライブのスタジオに姿を現し、得意のダンスではつらつとしたイメージを示してライブコマースを始めた。会社はまたTiktokでも「グリー明珠羽童ベスト」というライブ配信の場を設け、フォロワー数は300万人近くに達している。
左:会長兼総裁の董明珠;右:将来のトップ候補と言われた孟羽童
企業情報サイト「企査査」の5月16日のデータによると、孟さんに関わる商標の登録件数は119件あり、このうち44件がグリー電器によるもの、また「羽童」の商標34件もグリー電器が登録したものである。よって、119件のうちおよそ3分の2にあたる78件が会社による登録となる。
ただ会社側は1か月前の4月に、董氏のライブのパートナーを張埼さんに交代し、孟さんとの関係の「断絶」に着手した。文化宣伝部門によると、孟さんは董氏の秘書から市場部に異動して動画の企画を担当しているとのことであった。そして5月には、Tiktokの配信元「グリー明珠羽童ベスト」が「グリー明珠ベスト」に名称を変え、孟さんの出ている動画も削除された。会社の公式情報では、5月10日の時点で孟さんは退社しており、通常の人事だとしている。
グリー電器に近い業界関係者によると、「市場部も人材開発部も口を閉ざしている。この件は厄介であり、孟さんが解雇されたとなればお互いマイナスになる」と分析している。
(中国経済新聞)