中国ネット通販最大手アリババ集団は15日、同社傘下の技術研究開発機構であるアリババDAMOアカデミー(達摩院)の調整を行い、DAMOアカデミーを同じくアリババ傘下の物流企業「菜鳥網絡(Cainiao Network)」に統合すると発表した。
「菜鳥網絡(Cainiao Network)」は、アリババ集団傘下として2013年に設立され、「中国全土24時間、全世界72時間」の配送を目指した物流ネットワークの構築とサプライチェーンサービスの提供に注力するインターネットテクノロジー企業だ。
公開情報によると、DAMOアカデミーの正式名称は、Academy for Discovery, Adventure, Momentum and Outlookで、アリババ集団の投資による基礎科学研究機構としても知られている。研究所は、杭州市と北京市の中国2カ所以外にも、アメリカのカルフォルニア州サンマテオとワシントン州ベルビュー、ロシアのモスクワ、イスラエルのテルアビブ、シンガポールの世界7カ所にある。
中国最大のクラウド事業を手掛けるアリババクラウド(Alibaba Cloud)は、DAMOアカデミーの菜鳥網絡への統合は、事業調整の必要があったためだとしている。また、あるアナリストは、今回の統合は、DAMOアカデミーが行っていた自動運転の研究開発をラボから、実社会でのビジネスへ移行することを意味しているのではないかと指摘している。
今年3月には、DAMOアカデミーの自動運転開発の責任者を務める陳俊波氏が退職し企業しており、DAMOアカデミーの自動運転事業が菜鳥網絡に統合されたことで、アリババの自動運転が物流において実用化される日が近づいている。
今回の統合により、アリババの自動運転開発事業チームで人員削減が行われるのではないかとの憶測が飛び交い、DAMOアカデミーの自動運転事業は菜鳥網絡に統合されず、約70%の従業員がリストラされるとのニュースが流れた。これに対しアリババクラウドは、DAMOアカデミーが統合された後、自動運転事業の一部の従業員は、菜鳥網絡へ移動、その他の従業員はアリババ集団の別の事業部へ移動するとし、約70%にのぼる従業員がリストラされたというニュースは事実ではないとしている。
(中国経済新聞)