創業115年の老舗である陝西省の紫光辰済薬業が、医薬品メーカー・ツムラの中国合弁会社である平安津村に約2.5億元(約49億円)で買収されることになった。
「天眼査」によると、紫光辰済はすでに登記情報の変更を済ませており、平安津村が持ち株率100%で唯一の株主となっている。会社の実質的支配主はツムラ株式会社で、持株率は56%である。
紫光辰済は薬局の「達興堂」に端を発し、100年以上の歴史を有する。前身は官民合弁で1958年に設立された国営宝鶏製薬廠であり、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、丸薬、液体飲み薬、シロップ剤など9タイプについて、15本の生産ラインと158品目の中国政府公認薬品を有し、このうち国の基本薬品は44種類である。
買収元である平安津村薬業は、中国で漢方薬の薬草栽培から最終製品まで産業チェーン全体の品質管理システムを打ち立てることを狙いとして、日本のツムラ株式会社と「中国平安」が設立した合弁会社である。1893年創立のツムラは現在、120種類以上の漢方薬を生産し、医療用製剤で80%以上のシェアを有する世界最大の漢方薬メーカーである。
今回の買収について、ある業界関係者は、「ツムラは川下側のラインナップや販売チャネルが大きく充実化し、漢方薬の分野で川上から川下までの事業展開を果たすことになる。今、中国政府公認の薬とするのに1000万元以上(約2~10億円)かかることを考えれば、買収額はかなり安上がりと思われる」と述べている。
(中国経済新聞)