上野千鶴子氏の「女ぎらい」改訂版が中国で発売

2023/05/10 16:14

社会学者である上野千鶴子氏のベストセラー「女ぎらい」の中国語訳改訂版が、書籍通販大手「当当網」の社会科学新書ランキングでトップに立った。読者からのコメント件数は初版と合わせて83470件に達している。

中国では、2015年に上海の三聯書店でこの本の初版が発売され、これまでに通販で30万部近い売上を記録し、中国における上野氏の著作の中でも売れ筋となっていた。

今回の「女ぎらい」改訂版は、書籍販売などを手掛ける読客文化が「フェミニスト文庫」として最初に発行したものである。

この著作の人気ぶりや盛り上がりは社会の出来事や世論に密接に関わっている。編集者である夏夏氏は、「巷の話題が生まれて検索も増え、注目度が高まるにつれて、これらの出来事と比べるために上野氏の本を手にするようになっている」と述べている。

今回の改訂版は、2015年の初版に上野氏が2018年に文庫本に記載した2章計50ページ分を追加したもので、このうち「諸君!晩節を汚さないように——セクハラの何が問題か?」はセクハラ問題の急所をついたものである。

セクハラについて上野氏は、「社会の性差別の実践行為」と見なし、「セクハラ加害者の行為は決して性欲によるものではなく、女ぎらいによるもの。女ぎらいとは男性が自分を女性と区別し、『非女性』との制度を確認することだ」としている。女ぎらいは「女性蔑視」とも言い、加害者はセクハラ行為を通じて被害者を「性差別された女性を元に戻して『あなたは女性』『結局はただの女性』と宣言することだ」と見なしている。このような性差別のひけらかしは、男性の身分を確認することで、「客体としての女性は男性の欲望を満たすために存在するグループ」としている。

(中国経済新聞)