中国の2026年夏休み映画シーズン(6月1日~8月31日)の興行収入が8月16日、前売り分を含めて100億元(約2300億円)を突破した。夏休み期間の興行収入は前年同期を上回って推移しており、作品の多様化や平均チケット価格の低下を背景に、観客動員数も増加している。
灯塔専業版によると、8月16日時点の夏休み期間の累計興行収入は前年同期比3.2%増、観客動員数は2億7400万人で同5.7%増となった。一方、平均チケット価格は36.5元(約840円)で、前年同期比2.4%低下した。チケット価格を抑えることで観客数を増やす「価格で数量を取る」効果が表れている。(※日本円換算は1元=約23円。)
8月16日時点の夏休み期間の興行収入ランキングでは、「功夫女足(Kung Fu Women’s Soccer)」が22.9億元(約527億円)で首位となっている。

2位は中国の伝統文化を題材にしたアニメーション映画「八仙!(The Eight Immortals!)」で、興行収入は15.9億元(約366億円)。豆瓣では8.2点の評価を得ており、中国アニメーション作品の制作力と市場での訴求力を示した。

3位にはハリウッド映画の「Spider-Man: Brand New Day(スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ)」が続く。
4位は中国映画の「歓迎来龍餐館(Welcome to Long Restaurant)」。豆瓣の評価は8.4点から8.5点に上昇し、淘票票では9.9点と同プラットフォーム史上最高水準の評価を記録した。公開から6日間で興行収入は8億元(約184億円)を突破しており、灯塔AIによる興行収入予測では最終的に30億元(約690億円)を超える可能性があるという。
5位は映画「給阿嬤的情書(A Letter to Grandma)」となっている。
このように、夏休み期間の興行収入上位5作品のうち4作品を中国語圏の国産映画が占めており、中国映画の存在感が高まっている。
喜劇からSF、アニメまで多様な作品が競争
今年の夏休み映画シーズンでは、喜劇、アニメ、SF、戦争、サスペンス、アクションなど幅広いジャンルの作品が公開されている。
例えば、「功夫女足」や「年会不能停!2(Johnny Keep Walking! 2)」などの大衆向け喜劇がある一方、「八仙!」や「Toy Story 5(トイ・ストーリー5)」など、幅広い年齢層を対象としたアニメ作品も人気を集めている。
また、「Spider-Man: Brand New Day」や「Odyssey(オデッセイ)」など大規模な映像作品に加え、「欢迎来龙餐馆」のように芸術性と娯楽性を兼ね備えた作品も注目されている。
灯塔専業版のデータアナリスト、陳晋氏は、作品のジャンルが多様化したことで、年齢や好みの異なる観客がそれぞれ自分に合った映画を選びやすくなっていると分析している。
40歳以上の観客が過去最高
観客層にも変化がみられる。灯塔専業版によると、40歳以上の観客が全体に占める割合は25.9%となり、前年同期から3.2ポイント上昇して過去最高を記録した。30~34歳の観客も21.5%を占め、引き続き増加している。
女性観客は55.6%と依然として過半数を占め、映画市場の主要な消費層となっている。一方、今年は男性観客の割合も徐々に回復している。
陳氏は、アクション、SF、犯罪など男性にも支持されやすいジャンルの作品が増えたことで、観客層全体がより均衡したとみている。
地域別では、一線都市の映画市場も回復している。一線都市の興行収入が全国に占める割合は19.1%で、前年同期から0.2ポイント上昇した。深圳の興行収入は前年同期比16.3%増、広州は12.5%増となった。西南地域でも成都と重慶が好調で、興行収入はそれぞれ前年同期比15.0%、12.2%増加した。
地方都市でも成長が目立つ。下沈市場では、遵義、貴陽、ウルムチなどで興行収入が前年同期比20%以上増加しており、都市部以外でも映画需要が伸びている。
「七夕」控え、夏休み興行は終盤へ
今年の夏休み映画シーズンは、8月下旬に中国の「七夕」を迎える。朱一龍主演の映画「空槍(Empty Gun)」の公開も予定されており、シーズン終盤の興行収入を押し上げる可能性がある。
陳氏は、今年の夏休み映画シーズンについて、最終的に興行収入と観客動員数の双方が前年を上回る可能性があると分析している。
100億元(約2300億円)の大台を突破した今年の夏休み映画市場では、国産映画の存在感が高まるとともに、観客層の広がりや地域市場の均衡化も進んでいる。平均チケット価格が低下する一方で観客動員数が増えていることからも、価格面での負担を抑えながら映画館に足を運ぶ消費行動が広がっていることがうかがえる。
(中国経済新聞)
