ファーウェイとクアルコム、5G・AIで大型特許契約

2026/10/5 18:30

中国の華為技術(ファーウェイ)は10月5日、米クアルコムと複数年にわたる包括的な特許ライセンス契約を締結したと発表した。今回の契約では、5G、コンピューティング、人工知能(AI)、ネットワークなど幅広い技術分野を対象に、両社の特許ポートフォリオを相互にライセンスするクロスライセンスが実施される。さらにクアルコムは、ファーウェイが保有する米国特許の一部を取得する。

長年にわたり知的財産権をめぐって競合してきた両社にとって、今回の合意は重要な転換点となる。特許ライセンスを通じた協力関係を構築することで、両社の関係が新たな段階に入ったことを示すものとみられる。

今回の契約の大きな特徴は、対象となる技術領域の広さだ。ファーウェイとクアルコムは、5Gをはじめ、コンピューティング、AI、ネットワークなどの分野で、それぞれが保有する特許ポートフォリオを相互に利用できるようにする。

また、契約は「公平、合理的かつ非差別的」を意味するFRAND(Fair, Reasonable and Non-Discriminatory)原則に基づいている。FRANDは、特に標準必須特許(SEP)のライセンスにおいて重要な考え方であり、特許権者が公正かつ合理的な条件で技術を利用できるようにすることを求めるものだ。

ファーウェイの最高知的財産責任者(CIPO)であるAlan Fan氏は、同社が数十年にわたって基礎研究への投資を続けてきたことを強調した。

同氏は、ファーウェイが4Gおよび5Gの通信規格に幅広く貢献してきたと説明。特に、極化符号(Polar Codes)を活用した、通信容量の理論限界に近づく信号伝送技術への貢献を挙げ、こうした研究開発が同社のモバイル通信分野における競争力の基盤になっているとの認識を示した。

一方、クアルコムの技術ライセンス部門を率いるJohn Han氏は、同社が長年にわたって基礎的な無線通信技術への投資を続け、各世代のモバイル技術の発展を支えてきたと説明した。

今回の合意について同氏は、クアルコムの5G技術におけるリーダーシップや、5G標準必須特許のライセンスプログラムが業界から評価されていることを改めて示すものだと強調。その一方で、ファーウェイが5Gをはじめとするさまざまな技術分野で積み重ねてきたイノベーションと知的財産の価値も認める姿勢を示した。

今回の契約でもう一つ注目されるのが、クアルコムによるファーウェイの米国特許資産の一部取得だ。対象となるのは、コンピューティング、AI、ネットワークなどの技術分野を中心とした米国特許。これによりファーウェイは、自社が保有する知的財産の一部を売却することで、特許資産の価値を収益化することになる。

一方のクアルコムにとっては、ファーウェイが蓄積してきた技術資産を取り込むことで、AIやコンピューティングなど、今後の成長が期待される分野における知的財産基盤を強化する狙いがあるとみられる。

ただし、この特許取引については、必要な規制当局の承認を取得することが前提となっており、現時点では具体的な取引金額や完了時期は明らかにされていない。

今回の合意は、単なる特許ライセンス契約にとどまらない意味を持つ。ファーウェイのAlan Fan氏は、今回の契約について、ファーウェイのイノベーションの価値を示すと同時に、クアルコムが現代の通信技術に果たしてきた基礎的な役割も認めるものだとの考えを示した。

クアルコム側も同様に、今回の合意が同社の5G技術におけるリーダーシップを確認するだけでなく、ファーウェイが5Gやその他の技術分野で継続的にイノベーションを生み出し、知的財産を蓄積してきたことを認めるものだとしている。

つまり今回の契約は、両社が互いの技術力と知的財産の価値を一定程度認めたうえで、それぞれの特許資産を有効活用する枠組みともいえる。

ファーウェイとクアルコムの関係は新たな段階へ。5Gをめぐる世界的な競争が続くなか、通信技術の標準化と特許は、企業の競争力を左右する重要な戦略資産となっている。

今回、5GだけでなくAI、コンピューティング、ネットワークまで対象を広げたクロスライセンスが成立したことは、両社がそれぞれの知的財産を相互に活用することで、技術開発や事業展開の柔軟性を高める動きと捉えることができる。特に、クアルコムによるファーウェイの米国特許取得は、AIやコンピューティング分野の知的財産をめぐる両社の戦略を考えるうえでも注目される。

今回の合意によって、ファーウェイは5G標準や先端技術における特許ポートフォリオの価値を改めて示す一方、クアルコムは5Gに加えてAI・コンピューティング領域での知的財産基盤を拡充することになる。

(中国経済新聞)