中国で国慶節(建国記念日)の大型連休に合わせてコンサートが各地で開催され、スマートフォンのカメラ性能をめぐる“実戦”がコンサート会場で繰り広げられている。
灯塔専業版の公演カレンダーによると、2026年の国慶節期間(10月1~7日)には、全国で208公演のコンサートが開催された。リアルイベントが集中するなか、スマートフォンメーカー各社にとって、コンサート会場は最新の撮影性能をユーザーに体感してもらう格好の舞台となっている。

高額な撮影セット、会場では「レンタル」が主流に
コンサート会場では、vivoのスマートフォンを手にする来場者が目立った。こうした端末の一部はレンタル品とみられる。背景には、撮影機材一式を購入する際の高額な費用がある。現地では「一式を購入すれば最低でも1万5000元(約31万5000円)はかかるが、レンタルなら1回200元(約4200円)程度」という声も聞かれる。
実際、レンタルプラットフォームでは、vivoの最新カメラセット「vivo X300 Ultra撮影セット」が9割程度からレンタル可能となっており、2日間のレンタル料金は約250元(約5250円)、1日当たりでは約125元(約2600円)となっている。
国慶節期間中にvivoの店舗を取材したところ、撮影セットについて販売員は「コンサートに頻繁に行くのでなければ、購入する必要はない。高価なので、必要なときにレンタルすればよい」と説明したという。
スマートフォンそのものを買うだけでなく、望遠撮影用のアクセサリーまで含めて「必要な時だけ借りる」という利用スタイルが広がりつつある。
望遠レンズや撮影用アクセサリーの普及、さらにレンタル市場の拡大を背景に、コンサートはスマートフォンメーカーが新たな需要を取り込むための重要な市場になっている。
CIC灼識諮詢のマネージャー、陳申宇氏は、現在のユーザーの撮影ニーズについて、単純な「日常生活の記録」から「特定のシーンを記録する」方向へ変化していると分析する。
その代表例がコンサートだ。コンサート会場では、ステージまでの距離が遠いことから長焦点撮影が求められる。一方、照明の少ない環境では暗所性能も必要になる。さらに、手ブレ補正、オートフォーカス、動画撮影、録音性能なども同時に問われる。つまりコンサートは、スマートフォンのカメラ性能を総合的に試すことができる「実戦環境」といえる。
中国ではコンサート市場そのものも拡大している。2025年の観客動員数は約4000万人に達し、1990年代生まれ、2000年代生まれの若年層が主要な観客となっている。
この世代はスマートフォンでイベントを撮影し、SNSなどで共有することにも積極的だ。メーカーにとっては、撮影性能をアピールすることで製品の魅力を直接訴求できる市場となっている。陳氏は、消費者のコンサート撮影需要は実際に存在しており、同時にコンサートという場がスマートフォンのカメラ性能を訴求するマーケティングの場としても適していると指摘する。
今後、旅行やスポーツ観戦、子どもの学校行事、レジャーなどでも長焦点カメラを頻繁に利用する消費者が増えれば、コンサートを起点とした撮影ニーズは一過性のブームにとどまらない可能性がある。いわば「コンサート化」によって生まれた需要が、スマートフォンの望遠撮影そのものの性能向上を促す可能性がある。
こうした市場環境のなか、中国のスマートフォンメーカーは2026年9月下旬、新製品を相次いで発表した。各社が共通して前面に打ち出しているのがカメラを中心とした映像性能だ。
9月28日には、Honor(栄耀)が「Magic9」シリーズを発表。映画撮影機器メーカーのARRI(アリ)との協業によって映像機能の強化を図った。
3モデルはユーザー層を明確に分けている。「Magic9 Pro Max」はプロフェッショナルなクリエイター向け、「Magic9」は小型ボディーを重視した映像フラッグシップ、「Magic9超能版」は高負荷な処理性能を求めるユーザーを主なターゲットとしている。
(中国経済新聞)
