中国で全国統一電力市場の整備が加速している。国家能源局(国家エネルギー局)が27日発表したデータによると、2026年1~9月に全国の電力取引機関が取り扱った取引電力量は累計5兆8536億キロワット時(kWh)となり、前年同期比18.9%増加した。
取引範囲別では、省内取引が同22%増の4兆5499億kWh、省をまたぐ広域取引が同9.1%増の1兆3037億kWhだった。取引商品別では、中長期取引が5兆2189億kWh、スポット取引が6347億kWhとなった。グリーン電力取引は同6.1%増の2492億kWhに達したほか、送配電事業者による市場取引を通じた代理調達電力量は6288億kWhだった。
9月単月の取引電力量は6737億kWhで、前年同月比17.5%増加した。内訳は、省内取引が同21.7%増の5235億kWh、省をまたぐ広域取引が同5%増の1502億kWh。中長期取引は6016億kWh、スポット取引は721億kWhだった。グリーン電力取引は同6.9%増の310億kWh、送配電事業者による市場取引を通じた代理調達電力量は650億kWhとなった。
中国政府は全国統一電力市場の構築を重要政策として推進している。2月に国務院弁公庁が発表した「全国統一電力市場体系の整備に関する実施意見」では、2030年までに全国統一電力市場体系をおおむね構築する目標を掲げた。各種電源と、保障措置の対象となる利用者を除くすべての電力利用者が直接市場に参加し、市場取引による電力量の割合を社会全体の電力消費量の約70%に引き上げる方針だ。

こうした取り組みの中で、10月24日には全国初の地域電力市場となる「南方地域電力市場」が正式に運用を開始した。
同市場は2025年6月に連続決済の試験運用を開始しており、広東省、広西チワン族自治区、雲南省、貴州省、海南省の5省・自治区の電力市場を連携させている。石炭火力、水力、原子力、風力、太陽光など、あらゆる種類の電源が共通のルールに基づいて取引に参加する。電力価格は需給状況に応じて変動し、5省・自治区間で電力を柔軟に融通できる仕組みとなっている。
国家発展改革委員会によると、同市場の登録事業者・参加主体は27万を超え、全国の約4分の1を占める。市場取引による電力量の割合は67.5%に達し、全国平均を約4ポイント上回った。
需給のピークと谷に応じて価格を形成し、需給の変化に対応する市場調整の仕組みにより、電力資源の配分効率も向上している。連続決済の試験運用開始以降、西部から東部への送電では計画を上回る追加送電量が200億kWhを超えた。2025年の送電量は2616億kWhとなり、過去最高を更新した。
国家能源局は、2026~2030年の「第15次五カ年計画」期間中、全国統一電力市場体系の基本的な完成を目標に掲げる。再生可能エネルギーの電力を消費・活用するための市場経路の拡充、新型電力網に適した取引期間の最適化、統一電力市場のガバナンス強化を重点課題として進める方針だ。
具体的には、省内の電力取引市場では、スポット市場の全面的な正式運用への移行を促すとともに、需給調整などを担う補助サービス市場や小売市場を整備する。これにより、出力調整が可能な電源や需要家側の資源を最大限に活用する。
省をまたぐ広域電力取引では、中長期取引を再生可能エネルギーの広域消費を支える基盤と位置付ける一方、省間スポット取引や地域内の省間融通取引を、風力・太陽光発電の短期的な出力変動に対応する仕組みとして活用する。
全国統一電力市場の整備が進めば、地域ごとの需給の偏りを調整し、再生可能エネルギーの導入拡大と電力資源の効率的な利用を後押しすることが期待される。
(中国経済新聞)
