中国・上海市で、台風の影響による交通機関の運休や大雨を理由に、出勤前に1時間の休暇を申請した社員が、会社から約1500元(約3万4500円)のペナルティーを受けたとして話題になっている。会社側は「私用休暇は1営業日前までに申請する必要がある」と説明しているが、労働関係者からは会社の対応を問題視する声が上がっている。
上海では8月10日、台風「白海豚」の影響で強風や大雨となり、各地で冠水が発生したほか、一部の地下鉄路線も運休した。
今回の社員は、自宅から勤務先まで地下鉄で約1時間半かかるうえ、当日の朝には複数の地下鉄路線が運休していたため、遅刻を避けようと会社のシステムから1時間の休暇を申請した。人事担当者は申請を承認したものの、上司からの承認は得られていなかったという。

その後、社員が出勤すると上司から注意を受け、会社は同日、休暇申請を巡る処分を発表した。
会社の処分決定によると、対象となったのは3人。1人は台風当日に遅刻した際、会社の規定に従って遅刻手続きをせず、1時間の私用休暇を申請したとして処分された。会社側は、事前申請をせずに休暇を取得したことを「虚偽の申請」と判断した。
もう1人は当日に急きょ終日の私用休暇を申請したとして処分され、休暇を承認した行政担当者も「規定に反する申請を承認した」として処分の対象となった。
3人にはそれぞれ当月の業績評価に対する減点が科され、2人の社員は業績評価を20%減、承認した行政担当者は50%減とされた。1時間の休暇を申請した社員によると、自身の減額は約1500元(約3万4500円)に上るという。
社員は処分を受け入れず、会社に異議申し立てを提出した。普段の遅刻に対する会社の処分は200元(約4600円)程度だったとして、今回の処分は重すぎると訴えている。
一方、会社側は8月12日の取材に対し、10日に実際に社内処分を発表し、3人を処分したことを認めた。ただし、「これは会社の上層部が決定したもので、その他の事情については分からない」と説明した。
こうした対応について、上海市青浦区総工会も事態を把握している。労組関係者は、台風などの悪天候下での会社側の対応について「明らかに適切ではなく、人道的な配慮に欠ける」との認識を示し、社員から相談があれば、弁護士を手配するなど積極的に法的支援を行う考えを示した。
また、上海市交通当局や公安当局などは台風当日の悪天候を受けて、交通状況などに関する各種通知を出していた。これらは法律そのものではないものの、行政上の規範文書や行政命令として一定の効力と拘束力を持つとされる。
上海の弁護士は、台風や大雨によって通勤が困難になった今回のケースについて、労働者側に「危険を避ける権利」が認められる可能性を指摘する。
また、企業が労働者の給与を大幅に減額するには法的な根拠が必要であり、極端な悪天候による交通障害を理由にした遅刻が、直ちに大幅な給与減額の対象になるとは限らないと説明している。
今回のケースでは、社員が地下鉄の運休や道路の冠水を確認したうえで、出勤前に休暇を申請していることから、会社の「1営業日前までに申請する」という内部規定についても、実際の状況に応じた合理的な運用が求められるという。
社員側は今後、処分通知や休暇申請の記録、当日の行政機関による通知などをもとに、労働監察部門への相談や、必要に応じて労働仲裁を申し立てることができる。
(中国経済新聞)
