中国民政部が8月12日に発表したデータによると、2026年上半期に全国で婚姻届を提出したカップルは327万5000組、離婚届は138万3000組となった。
中国では近年、適齢期の結婚・出産を促すとともに、社会全体で結婚・子育てを支援する環境づくりが進められている。その一環として、婚姻届の手続きも大きく変わった。
2025年5月10日から改正「婚姻登記条例」が施行され、婚姻届の地域制限が撤廃された。戸籍簿の提出も不要となり、全国どこでも婚姻届を提出できる「全国通辦」が実現した。これにより、戸籍所在地から離れて暮らす若者も、結婚証明書を取得するために故郷へ戻る必要がなくなった。
厦門大学経済学系の丁長発副教授は、婚姻届の全国対応によって、戸籍所在地以外に住む人々の経済的・時間的負担が軽減され、生活の幸福感をさらに高める効果があると分析している。
さらに、婚姻届の利便性向上をきっかけに、各地では「婚姻届+観光」という新たなサービスも登場している。観光地や歴史的街並みなどを「結婚証明書を受け取る特別な場所」として整備し、結婚と観光を組み合わせた新たな需要を掘り起こしている。

例えば、江蘇省蘇州市姑蘇区では今年2月10日から、山塘街、桃花塢、蘇作館の3カ所に特色ある婚姻届受付窓口を設置。江南地方の歴史・文化と婚姻届の手続きを組み合わせ、より記念に残る「結婚式」の演出を提供している。
雲南省麗江市玉龍ナシ族自治県では、「雪山カフェ婚姻登記」というユニークな行政サービスもスタートした。雪山を望むカフェを舞台に婚姻届を提出できるようにし、行政サービスと観光を融合させている。

また、安徽省合肥市肥西県の婚姻登記所は、合肥軌道3号線の「幸福壩駅」に入居している。駅名そのものが「幸福のダム」を意味することもあり、全国初の「地下鉄駅構内の婚姻届受付所」として注目を集め、これまでに5700組以上のカップルがここで新たな人生をスタートさせた。
結婚を後押しするため、経済的なインセンティブを打ち出す地域も増えている。
広東省仏山市順徳区陳村鎮大都村では、結婚・出産奨励制度を村の規約に盛り込んだ。合法的に婚姻届を提出した新婚夫婦には一時金2500元(約5万7500円)、子どもが生まれた場合には3000元(約6万9000円)を支給するほか、就学前の子どもを対象に保育・教育費の補助も行う。
福建省明渓県でも、結婚・出産政策の見直しに伴い19項目の支援策を打ち出した。県内で婚姻届を提出し、夫婦双方が初婚で、結婚後に県内へ戸籍を移した場合、婚前検査を受けた夫婦に対して一時金3000元(約6万9000円)を支給する。
山西省呂梁市では2025年1月1日から、夫婦双方が初婚で、女性が35歳以下の場合、1500元(約3万4500円)を支給している。
このほか、広州市白雲区、東莞市横瀝鎮などでも結婚を促す支援策が打ち出されている。浙江省杭州市、寧波市、安徽省蕪湖市などでは、新婚夫婦を対象に結婚関連の消費券を配布する取り組みも行われている。
こうした動きから、中国では単に婚姻届の手続きを簡素化するだけでなく、「結婚しやすい環境」の整備から、結婚を地域経済や観光、消費につなげる取り組みまで、支援策の幅が広がっている。婚姻届の全国対応を契機に、行政サービスと観光、消費、子育て支援を組み合わせた新たな「婚育支援」の形が各地で模索されている。
(中国経済新聞)
