中国では新エネルギー車(NEV)の普及拡大を背景に、レンタカー業界でも車両の電動化・スマート化が急速に進んでいる。中国汽車流通協会乗用車市場情報連席分会(CPCA)は、7月の国内乗用車小売販売台数が約152万台、そのうち新エネルギー車は約98万台に達し、市場浸透率は過去最高となる64.5%に上昇するとの見通しを示した。
こうした市場環境を受け、大手レンタカー各社はEVの導入を加速している。7月には、小鵬汽車(Xpeng)が神州租車(CAR Inc.)へ「MONA M03」や「P7+」など1,300台の新エネルギー車を納車し、大規模レンタル市場への導入を本格化させた。
神州租車の高徳武CEOによると、2025年に調達した約10万台の新車のうち、約半数が新エネルギー車だった。現在では保有車両全体に占めるEV比率は30%を超えているという。
一嗨租車(eHi Car Services)や携程租車(Trip.comレンタカー)もEVラインアップを拡充しており、「問界M6」や2026年モデルの「小米SU7」など人気モデルを通常レンタル車両として提供している。
さらに、各社はEVの普及に加え、スマートカーサービスの強化にも取り組んでいる。一嗨租車は今年、吉利汽車からスマートSUV約1,000台、広汽集団から「影速GS3」「影豹」「伝祺M6」など2,000台を導入し、スマートカー車両の充実を図った。
神州租車は7月、アプリ内に「スマートドライビング」専用コーナーを新設。EV検索、運転支援機能の紹介、車種推薦、AIによる利用相談などをワンストップで提供し、40以上の主要EVブランドに対応している。
業界関係者は、EV・スマートカーへのシフトは、運営コストの低減だけでなく、利用者ニーズの変化にも対応したものだと指摘する。
北京交通大学中国交通運輸経済研究センターの欧国立主任は、「EVはガソリン車より運行コストが低く、運転支援技術への消費者の関心も高まっている。レンタカーはスマートEVを体験する有効な手段になっている」と分析する。
実際、旅行や帰省の際にEVをレンタルし、高速道路での運転支援機能や維持コストを体験したうえで、購入の参考にする利用者も増えている。
神州租車の高CEOも、「以前は車内空間や快適性が重視されていたが、現在ではスマートドライビング機能が購入・利用時の重要な判断材料となっている。特に若年層ではその傾向が顕著だ」と述べている。
北京市内のレンタカー利用者である30代の男性は、「高速道路で運転支援機能を使うと追従走行や車線変更を自動で行ってくれるため、長距離運転の疲労が大幅に軽減された」と話し、スマートカーならではの利便性を評価した。
専門家は、レンタカー各社によるEV導入は「双炭(カーボンピークアウト・カーボンニュートラル)」政策への対応でもあると指摘する。一部都市では営業車両のEV比率が求められており、EV導入は競争力向上だけでなく、事業継続のための重要な条件になりつつある。
今後は、車両調達から運営、サービスまで業界全体のビジネスモデルが変化するとみられる。メーカーとの共同開発による専用車両の導入、IoTやビッグデータを活用した車両管理や充電最適化に加え、充電、駐車、観光サービスなどを組み合わせた新たなモビリティサービスの構築も進む見通しだ。
専門家は、「今後のレンタカー業界は価格競争から価値競争へ移行する。車両を貸し出すだけでなく、『資産+サービス』を組み合わせた総合モビリティ事業への転換が、競争力を左右する重要な要素になる」と展望している。
(中国経済新聞)
