エヌビディアCEOジェンスン・フアン氏が来日 ―その2

2026/07/17 13:30

日本の半導体サプライチェーンとの連携を強化

公式発表に先立つ15日夜、フアン氏は東京・神田の居酒屋で、日本の半導体・電子部品業界を代表する企業の経営陣と夕食会を開いた。

出席者には、キオクシア(Kioxia、铠侠)、信越化学工業、東京エレクトロン、味の素、住友電気工業、太陽誘電、パナソニック ホールディングスの幹部らが参加した。

この顔ぶれは、エヌビディアの次世代AIシステムを支える日本のサプライチェーンを象徴するものとなった。席上では、半導体産業の発展や企業価値向上について意見が交わされたという。

フアン氏は、日本が精密加工と大量生産で世界をリードしてきたことに触れ、「日本にとって歴史的な瞬間だ」と語った。

また、日本が直面する労働力不足について、「AI、ロボット、自動化によって既存の労働力の能力を高め、国全体の生産性向上につなげることができる」と述べた。

トヨタとの協力では、同社がエヌビディアの「DRIVE AGX」と「DriveOS」を活用した次世代運転支援システムを開発するほか、「Megatron-LM」によるソフトウェア開発支援AI、「Omniverse」と「Isaac Sim」を用いた工場のデジタルツインやロボットシミュレーションを推進する。トヨタ子会社のWoven by Toyotaも、「H100」GPUを活用した都市交通向けマルチモーダルAIモデルの開発を進めている。

エヌビディアの日本での協業は、ロボットや自動車にとどまらない。

医療分野では、エーザイ(Eisai、卫材)、アステラス製薬、第一三共、小野薬品工業がAI創薬プラットフォーム「BioNeMo」を活用している。また、キヤノンは日本初のエヌビディア対応フォトンカウンティングCTを、富士フイルムは「Blackwell」GPUを搭載した全身CTシステムを投入した。さらに、川崎重工業は、手術支援ロボットや病院向け搬送ロボットの開発を進めている。

金融分野では、みずほフィナンシャルグループが国内金融業界最大級のAIファクトリーを構築する計画を進めているほか、三井住友フィナンシャルグループ傘下の日本総合研究所(JRI)はAIファクトリーを導入し、金融データの高度活用を進めている。楽天銀行も金融向けAI基盤モデルの開発に取り組んでいる。

量子コンピューティング分野では、理化学研究所(RIKEN)が「GB200」を採用したスーパーコンピューター「RIKYU」と「ROQUO」の運用を開始したほか、三菱ケミカルグループ(Mitsubishi Chemical Group、三菱化学)、みずほ銀行、慶應義塾大学、産業技術総合研究所(AIST)などは、GPUを活用した分子解析においてCPUのみの場合と比べ13.4倍の高速化を実現したとしている。

市場では、エヌビディアがソフトバンクグループ主導の「フィジカルAI」プロジェクト「Noetra」と提携するとの見方も出ている。同プロジェクトには本田技研工業、NEC(日本電気)など44社が参加し、日本政府も1兆円規模の支援を行っている。

今回の訪日は、日本の製造業、半導体サプライチェーン、AI産業との連携を一層強化するものであり、エヌビディアが日本をアジアにおけるフィジカルAI戦略の重要拠点と位置付けていることを改めて印象付けた。

(中国経済新聞)