送電権の市場取引が試行開始へ 全国統一電力市場の構築を加速

2026/06/4 19:00

中国国家発展改革委員会と国家能源局はこのほど、福建省と広東省を結ぶ「雲霄直流」送電ルートにおいて、送電権の市場取引(送電線の利用枠を市場で売買・配分する仕組み)を試行的に実施する方針を発表した。6月1日から月次および短期取引を対象に運用を開始し、全国統一電力市場の構築を加速させる狙いがある。

通知によると、試行は「雲霄直流送電権市場化取引方案(暫定版)」に基づいて実施され、「安全性を最優先とし、着実な推進、公平・公開、秩序ある競争」を原則とする。

「雲霄直流」は福建省と広東省を結ぶ背中合わせ(BTB)方式の直流送電設備であり、異なる電力運営区域間の電力取引を支える重要な送電ルートとして機能している。

今回導入される送電権の市場取引は、省をまたぐ限られた送電容量を市場原理によって配分する新たな制度である。これまで広域送電網の利用は主に行政計画によって調整されてきたが、市場化によって送電容量の利用先を需要と供給に基づいて決定できるようになり、地域間の電力需給のミスマッチ解消につながると期待されている。

また、広域電力取引を常態化するうえで重要な課題とされてきた送電容量の優先利用ルールについても、市場メカニズムを通じて決定する仕組みが導入される。これにより、限られた送電インフラの利用効率向上が見込まれる。

通知では、国家電網(State Grid Corporation of China) State Grid Corporation of China と 中国南方電網(China Southern Power Grid) China Southern Power Grid に対し、協力体制をさらに強化し、送電権取引を通じて送電ルートの潜在能力を引き出し、運用効率を高めるよう求めている。

今回の試行では、取引方法や価格上限・下限、取引運営ルールなども定められており、中国の電力市場に新たな取引商品が加わることになる。

華北電力大学の王鵬(Wang Peng)教授は、「今回の試行は全国統一電力市場の整備に向けた重要な一歩であり、中国における送電権市場構築の出発点として大きな改革的意義を持つ」と指摘する。

さらに同氏は、試行によって蓄積された経験が今後ほかの省間・地域間送電ルートにも展開される可能性があると述べた。将来的には、送電権市場と電力取引市場の連携が進み、中国全土でより効率的な電力資源配分を実現する全国統一電力市場の形成が加速するとみられている。

(中国経済新聞)